『スター・ウォーズ/ダース・モール 闇の狩人』 マイケル・リーヴス
2012年 05月 09日
映画『エピソード1』に直結する物語で、先行するコミック作品(未翻訳)と映画との橋渡しをするブリッジ・ノベル。題名通りダース・モールが中心で、映画本編に登場する直前まで遂行していた任務にまつわる物語である。
シスの暗黒卿ダース・シディアスは、トレード・フェデレーションを裏で操り覇権を握ろうと画策するが、この企てを記録したホロクロンが盗まれてしまう。シディアスは弟子のダース・モールに、ホロクロンの奪取と秘密を知るものの抹殺を命じる。一方、ジェダイの素質を見込まれた息子と引き離されたことでジェダイに恨みを持つ情報屋ローン・パヴァーンは、ホロクロンを偶然入手。女性ジェダイのダーシャ・アサントとも巡り合い、必死の逃亡が始まる。
『エピソード1』直前と言うこともあってオビ=ワン・ケノービも登場するが、本筋には絡まないゲスト的出演に終始している。この展開なら出さなくてもとも思うのだが、映画との流れから登場は必然だったのだろうか。
「栞をはさんで・・・」に投稿した文章を転載しました。
文庫化されたのを機に読みなおしましたが、以前読んだのは翻訳版が出版されてすぐの頃。もう11年も前のことなので、細かいところはかなり忘れてました。ただその結末はインパクトがあったので、これはしっかりと覚えておりました。未読の方のために多少は伏せますが・・・まあ、普通に考えてハッピーエンドにはなりようがありません。
行方不明となったダーシャ・アサントとその師アヌーン・ボンダーラの消息を求めて、中盤からオビ=ワン・ケノービも物語に参加してきますが、『エピソード1』でジェダイ評議会はシスの存在を認めていませんし、クワイ=ガン・ジンとオビ=ワンが直接対決するまでダース・モールのことも勿論誰も知らないのですから、結果的にモールの後を追う形になっていたオビ=ワンが真相に辿り着く筈がありません。
それを考えるとローンやダーシャの頑張りも哀れな感じがしますし、また大言壮語する割に、或いはダース・シディアスが絶大な信頼を寄せているにも関わらず、モールはクールに仕事をこなすキャラかと思いきや、存外間抜けな奴に思えてしまう、という問題もあるので、余計な知識はいらないという人にはあまりお勧め出来かねます。『偽りの仮面 議長暗殺計画』では、トレード・フェデレーションによるナブー封鎖のからくりが明らかになるという副読本的側面もありましたが、こちらは純粋なアクション小説に特化している感があります。
最後は、オビ=ワンが一応の任務を終えてジェダイ聖堂に戻ると、すぐさまクワイ=ガンと共にナブー行きを命じられるところで終わります。そのまま『エピソード1』の冒頭部分へと繋がるということですね。『偽りの仮面』から本書『ダース・モール 闇の狩人』を経て、いよいよ本当の舞台の幕が上がるということなので、<スター・ウォーズ・ユニバース>にどっぷりと浸りたいという方ならば本書を手に取る意義もあるというものです。