【徒然なるままに・・・】

odin2099.exblog.jp

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『笑う娘道成寺』<女子大生桜川東子の推理> 鯨統一郎

いつの間にか<バー・ミステリシリーズ>などという呼び名が付けられたようですが、気が付くと『九つの殺人メルヘン』、『浦島太郎の真相/恐ろしい八つの昔話』『今宵、バーで謎解きを』に続いて4冊目ということになりました。
それにヒロインの桜川東子の名前が、とうとうサブタイトルに昇格してますね。どちらかというとこの一連の作品群は、<桜川東子シリーズ>と呼んだ方が通りが良いような気もしますが。

e0033570_22365426.jpg今回も基本となるストーリー展開は同じです。バーに集まったヤクドシトリオ(私立探偵の工藤、学者の山内、マスターの島)がバカ話に興じているうちに、いつしか話題は最近の難事件へ。すると、それまで話を聞いているだけだった大学院生の東子が、持ち前の洞察力と推理力で事件の真相を暴きだす、というのがパターンです。

それぞれ元ネタに准えた事件が起きるのですが、最初が童話、次が昔話、そして前回のギリシャ神話ときて、今回のお題目は歌舞伎。表題作以外に「笑う女殺油地獄」「笑う曽根崎心中」「笑う白浪五人男」「笑う勧進帳」「笑う忠臣蔵」、計六編から構成されています。

ただ今回はここに、歌舞伎好きのOL阪東いるかという新キャラクターが登場。二編め以降は週一のアルバイトとしてレギュラーになり、会話にもアクセントが付くようになりました。テコ入れということでしょうかね。

しかしながら、相変わらず本筋に関係のない、ヤクドシトリオの蘊蓄満載(?)の昔話の方が面白く、肝心のミステリー部分、事件の概要とその謎解きは元ネタに沿い過ぎていて無理矢理感が強いですね。ミステリー物としてではなく、このバカ話を愉しむのがこのシリーズとの賢い付き合い方なのかも知れません。とりあえずシリーズが続く限り付き合う所存ではありますが。

それにしても今までノベルズ→文庫という形だったこのシリーズなのに、なんで今回はソフトカバーでの刊行になったんでしょ? 余計な出費が・・・。
[PR]
by odin2099 | 2012-05-24 22:37 | | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : https://odin2099.exblog.jp/tb/18050684
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by みゆみゆ at 2012-05-26 11:33 x
面白そうですねー
笑う演目じゃないのに「笑う~」というのがいろんな意味で気になります。
Commented by odin2099 at 2012-05-26 11:53
>みゆみゆさん

あまり「笑う」には意味がありません(苦笑)。いずれも殺伐とした(?)殺人事件がテーマなので。
面白いのは、本筋に関係ないトリビア・ネタと、モティーフにされている歌舞伎の演目に対する作者なりの新(珍?)解釈の方です。
「白浪五人男」だったら実は菊之助は死んでないんじゃないかとか、「娘道成寺」だったら物語に登場しない清姫のライバルがいたんじゃないかとか、「曽根崎心中」は心中じゃなく殺人だったとか、そっちの方に興味を惹かれるかも。

by Excalibur
ブログトップ