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『黒蜥蜴』

明治座創業140周年記念作品だそうですが、見に行って来ました。
勿論江戸川乱歩『黒蜥蜴』が原作で、脚本は齋藤雅文、演出は西川信廣。
出演は黒蜥蜴(緑川夫人)に浅野ゆう子、明智小五郎に加藤雅也、雨宮潤一(山川健作)に賀集利樹、岩瀬早苗に林丹丹、岩瀬夫人に奈良富士子、新聞記者・郷田に伊藤正之、花田警部に佐戸井けん太、岩瀬庄兵衛に渡辺哲、柏原春に鷲尾真知子ら。
三幕構成で幕間には30分ずつの休憩が入るので、4時間近い長丁場となりました。

お話は原作に沿っているような沿っていないような…?
悪党どもがパーティをやったり宝石の奪い合いをしたり、というのは原作にありませんし、その席上で顔を知られたからという理由で雨宮青年を山川に”変身”させるというのは取って付けた感じだし(原作では別の理由があり、そのことで彼は黒蜥蜴に忠誠を誓っています)、これなら終始「雨宮」で通すか、最初から「山川」に統一しておいた方がスッキリしたのではないでしょうか。
また明智は、庄兵衛から依頼されるまで「黒蜥蜴」なる女賊の存在を知らなかったりします。

その黒蜥蜴も、身の上話を滔々と語り始めたりしませんし、人間の剥製をコレクションしてもいません。
まああ『黒蜥蜴』_e0033570_18583893.jpgる意味ではもっと惨いことをしているのですが、この場面では攫われた早苗が凌辱されたりもしますので、そのまま表現するのは憚られたのでしょう。
黒蜥蜴自身も、宝石以外は一糸纏わずに舞台で踊ったり等のかなりエロティックなシーンがありますが、やはりこれも制約が大きいのでしょうね。

また制約が大きいというより、話の筋が複雑になるからかと思いますが、クライマックスでの早苗すり替えのどんでん返しが見事に割愛されてしまっていますので、ミステリー・サスペンス物としては今一つ盛り上がりに欠ける嫌いもあります。

そしてその分はラブストーリーというか、黒蜥蜴と明智の微妙な関係――必ずしも”恋愛”とは呼べない――を中心に据えることで盛り上げようとしたのでしょうが…何故でしょうか、全体的に安っぽさが漂っていたようで……。
やはり役者さんにはそれぞれ器、それに格というものがあり、これらは演技の上手い下手とか役柄に合う合わないとは別の次元で存在しているのだろうなあ、としか言いようがありません。
8列目の、しかも花道の真横なんていう席で見るチャンスを頂いたのですが、何となく残念な感じでした。

<追伸>
賀集くん、演技が、というより台詞回しが上手くなりましたね。
それに令嬢役の丹丹ちゃん、可愛い。
それにしても宝石の名前が「エジプトの星」から「クレオパトラの涙」に変わったのは何故だろう?
Tracked from 〜青いそよ風が吹く街角〜 at 2012-06-16 19:24
タイトル : ★明治座創業140周年記念『黒蜥蜴』★ ※ネタバレ有
2012年:東京・明治座6月公演、西川信廣演出、江戸川乱歩原作、齋藤雅文脚本、浅野ゆう子、加藤雅也、賀集利樹、林丹丹、奈良富士子、伊藤正之、佐戸井けん太、渡辺哲、鷲尾真知子出演。... more
Commented by BC at 2012-06-17 21:50 x
エクスカリバーさん、こんばんは。

>やはり役者さんにはそれぞれ器、それに格というものがあり、これらは演技の上手い下手とか役柄に合う合わないとは別の次元で存在しているのだろうなあ、としか言いようがありません。

一応、相手役俳優のファンとしては認めたくはない気持ちもあるのですが、
まさしく、それに尽きるでしょうね。
器や格といったモノが気にならなくなる域に達する事が出来なかったのが致命的でしたね・・・。
Commented by odin2099 at 2012-06-17 22:08
>BCさん

これ、舞台が明治座じゃなかったら、また違っていたかも知れませんね。もう少し小さい劇場ならば「そういうもの」だと思えたかも知れません。大劇場の看板を背負うにしてはちょっと・・・という気がします。
他の明治座公演のラインナップで主演の方の名前を眺めていても、何となく異質な感じがします。お芝居そのものは決して詰まらなかった訳ではないだけに勿体ない・・・。

ちなみに原作だと黒蜥蜴の一人称は「僕」なんですよね。男装の麗人ではないですが多少は倒錯的な魅力がありますが、この舞台版だとトコトン「女」になっていて、どことなく情念を感じさせる役になっていました。洋装よりは和装が似合う感じというか。
by odin2099 | 2012-06-16 18:59 | 演劇 | Trackback(1) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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