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『舟を編む』 三浦しをん

最初に書名を聞いた時は、一体何のお話なのか見当もつきませんでした。それが、どうやら辞書を作ろうとしている人たちの話だ、と知った時もさっぱりわからなかったのですが、作品中にこんな言葉が出てきます。
「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」
そして彼らが作ろうとしている辞書の名前が『大渡海』、そこで「舟を編む」イコール「辞書の編集」を意味しているのだとわかります。
それでも辞書の編集者たちでどんなドラマが繰り広げられるのか、イメージ出来ませんでしたね。特にそれが、2012年の「本屋大賞」の第1位に輝くほど支持されるようなお話になるのだとは。

『舟を編む』 三浦しをん_e0033570_19504852.jpg物語は荒木という人物の描写から始まります。小さい頃から言葉に興味を持っていた彼は、長じて出版社に就職し、辞書作成一筋の人生を送るようになります。その荒木が長年の付き合いである学者の松本と一緒に新しい、最後の大仕事を始めようとしているのですが、自分の定年まであと僅か。何とかして後継者を見つけようとしている、というのがプロローグです。

編集部員の西岡の推薦で馬締という男を見つけた荒木は、彼に後を託すことを決意し、以後は馬締が主人公格となって話が進んで行きますが、真面目で不器用な馬締に対して、容量が良いものの軽薄な西岡との対比や、西岡の馬締に対する意外なコンプレックスやら、ラブコメの如き馬締の恋愛ドラマだとか様々な展開を見せていきます。

最後は無事に『大渡海』が完成するところで幕が下りますが、その間に実に15年もの歳月が流れ、多くの出会いや別れも積み重ねられていきます。笑える部分あり、ホロっとさせられる部分あり、なるほどこれは惹きつけられる物語だなあと感じました。
そして辞書作りに熱中する、良くも悪くも「変人」である馬締たちの仕事ぶりには、自分も何かしなくてはなあという向上心を刺激されると同時に、高揚感、使命感、達成感も味わわせてくれるものになっていて読後感も爽やかでした。

ちなみに「本屋大賞」は今回が9回目になるようですが、過去の第1位となった8作品はいずれも映画やTVドラマなどで映像化され、更に舞台化やラジオドラマ化、コミック化されているものもあり、10位以内にランクインした作品の多くもやはり映像化等々されているものが少なくありません。ということはこの作品もその可能性があるのでしょうか。映像で見せるには少々難しい題材かと思いますが。


【追記】

妙にタイムリーでしたが、映画化決定のニュースが流れました。
来年4月公開予定で、監督が石井裕也、出演は馬締光也に松田龍平、林香具矢に宮崎あおい・・・えーっ? 自分のイメージとはえらく違うんですが、これが一般的なイメージなんでしょうか???

まあ「岸辺みどり」ならば、宮崎あおいもアリかなあという気はしますが・・・・・・。
      (2012/7/13)
Tracked from 映画と本の『たんぽぽ館』 at 2012-07-13 19:57
タイトル : 「舟を編む」三浦しをん 
言葉という大海原を航海するための舟 舟を編む三浦 しをん光文社                  * * * * * * * * 玄武書房営業部に勤める馬締(まじめ)は、 ある日突然辞書編集部に引き抜かれ、新しい辞書「大渡海」の編集に携わるとこになり...... more
Tracked from 極私的映画論+α at 2012-07-13 20:39
タイトル : 舟を編む 三浦しをん著 光文社
 いやぁ・・・ホントに引き出しの多い人(笑)... more
Tracked from 日々の書付 at 2012-07-15 11:29
タイトル : 「舟を編む」 三浦 しをん
三浦しをんさんの「舟を編む」読了。辞書編纂という未知の世界と、言葉への愛がつまっています。辞書の薄くなめらかな紙の触感と、整然と並んだたくさんの言葉。読んでいるうちに、久しぶりに辞書を引きたくなりました。 タイトルの「舟を編む」は、辞書は膨大な言葉の海を渡るための舟である。という意味。 そして、その舟は、もっともふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために存在する。自分ではなく、相手のために。 「船」ではなく「舟」なのは、それだけ言葉の世界が果てしないということなのでしょうね。 ...... more
Tracked from 読書と映画とガーデニング at 2012-07-15 11:40
タイトル : 三浦しをん「舟を編む」
光文社2011年9月 初版1刷発行2011年11月 4刷発行258頁 ある出版社の辞書編集部で辞書「大渡海」つくりに奔走する個性的な面々の物語 スポーツや趣味に限らず夢中になれることがある人は幸せです 営業から引き抜かれた馬締(まじめ)は、ちょっと風変わりで周囲から浮...... more
Tracked from ポコアポコヤ at 2012-07-17 13:44
タイトル : ネタバレ「舟を編む」感想 三浦しをん
前半は、もう5つ☆でしょう!!って位、面白くて大好きでした。... more
Tracked from “寝湖世NOINU”のク.. at 2012-07-22 11:39
タイトル : 「舟を編む」 三浦しをん を読みました。
舟を編む 三浦しをん 光文社 発売日:2011-09-17 ブクログでレビューを見る»  *** 内容紹介(アマゾンより) ***玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。言...... more
Tracked from ぼちぼち at 2012-07-31 19:12
タイトル : 舟を編む
JUGEMテーマ:読書  言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる三浦しをん最新長編小説。【辞書】言葉という大海原を航海するための船。【辞書編集部】言葉の海を照らす灯台の明かり。【辞書編集者】普通の人間。食べて、泣いて、笑って、恋をして。ただ少し人より言葉の海で遊ぶのがすきなだけ。玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、...... more
Tracked from みゆみゆの徒然日記 at 2013-11-05 00:18
タイトル : 『舟を編む』 三浦しをん
 最近、映画化されましたがそちらは未見。辞書編纂という題材も興味深いので、読んでみました。  まず「舟」を「編む」とは何?????というような題名ですね。言葉という大海原を公開するための船=辞書。そして、編む=編纂するということなのですね。そんな辞書の...... more
Tracked from ルナのシネマ缶 at 2013-11-09 00:20
タイトル : 「舟を編む」三浦しをん
登場人物は、みんな ちょっと変わった人たちですが、 なんだか好感が持てて、 面白かったです。 一冊の辞書を創るのが、これほど大変な事だったとは、 正直考えたこともありませんでした。 学生の頃は、辞書を引く事も結構ありましたが、 何年か前に電子辞書を購入した際に、棚の一部を占めていた辞書類を 全て処分してしまいました。 その電子辞書も最近ではほとんど使うことなく、 今はすぐにネット検索してしまいます。 この本を読んで、辞書を創る人々の並々ならぬ時間と情熱を感じ、 せめ...... more
Tracked from 笑う社会人の生活 at 2015-03-21 22:34
タイトル : 辞書を作ろう! 〜 小説編
小説「舟を編む」を読みました。 著者は 三浦 しをん 三浦作品も久々で あまり ハマったのは多くはないのだけど、話題作になるので読んじゃいますね 本作も本屋さん大賞も取ったし 映画も見まして、良かったので サラサラっと 読めて 言われているけど、ライトノベル...... more
Commented by こに at 2012-07-15 11:45 x
トラバありがとうございました。
映画化決定ですか!?
松田龍平&宮崎あおい、私もイメージが合いません。
香具矢は可愛らしいより美人ですよねぇ。
Commented by odin2099 at 2012-07-15 22:50
>こに様

TB&コメ、有難うございました。
松田龍平&宮崎あおい、やっぱりイメージ違いましたか。良かった、自分だけじゃなかったんだ(笑)。

>香具矢は可愛らしいより美人ですよねぇ。
そうですよね。一見すると近寄りがたいぐらいの美人、ってイメージがありますね。さて、誰が適役だろうか?
Commented by 寝湖世NOINU at 2012-07-22 11:53 x
はじめまして。
TBさせていただきました、って
うまくできたか、不明なんですけど。

私も以前、「こまねこ」ちゃんに居てもらったので
懐かしかったです。

映画のキャスティングは、私も「ちょっと、違う…」
と思いました。
でも、誰か?と問われれば、難しい~。
Commented by odin2099 at 2012-07-22 12:49
>寝湖世NOINU様

いらっしゃいませ、ちゃんと届いております!有難うございました。

>この作品では、屈折した面も見せるものの最後まで「イイ奴」である。
>あっさりと抑制を効かせているので「爆涙もの」にはなっていない。

そうですねー、もっとドロドロした展開になるのかいな、と不安に思ったりもしたのですが、基本みんな良い人ばっかりで、そういう点ではリアリティに欠けてるのかも知れませんけど・・・。
ただ、こんな長い時間が経過する物語だとは、最初のうちは想像もつきませんでした。
辞書作りって大変なんだなあ。でもこういう職場で働きたい、というのは同感です。やりがいはありますね。

キャスティング、松田龍平は何とかこなしてくれそうな気もしますけど、宮崎あおいじゃ別人ですよね?
by odin2099 | 2012-07-12 19:51 | | Trackback(10) | Comments(4)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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