『バットマン・ビギンズ』のおさらい
2012年 08月 11日
どうも「バットマン」シリーズとの相性が悪いんですが、どうやら絶賛している人が少なくないとなれば、気にせざるを得ません。せっかくですから見に行く前に前作、前々作のおさらいを。
ということでまずは一作目から。
試写会と劇場、2回見てましてこのブログでも試写会のトピは立ててありますが、今回は本家サイトの「しねま宝島」から引用・転載します。
8年ぶりのシリーズ5作目というよりも、今までの設定をリセットした新章の開幕といった趣です。
主人公の内面描写に重きを置いたバットマン誕生秘話で、己の恐怖を克服した主人公が今度は他者に恐怖を与えようと決意する件は、これまでのバットマンとは一味違ったパラノイアぶりを見せてくれます。時系列をあえてぶれさせた導入部は観客を限定する嫌いもありますが、主人公を多角的多面的に捉えようという試みの一環でしょうか。さらに、2時間20分の尺が長く、少々冗漫に感じられるのは娯楽作品としてはマイナスですが、キャスティングを含めた全体のゴージャスさが、それを補っているので退屈はしません。
4代目バットマン=ブルース・ウェインはクリスチャン・ベール。歴代のバットマンが、比較的濃い面々だったのに比べると随分と透明感がありますが、回を重ねる毎に良くなっていきそうな予感がしますのでシリーズの継続が楽しみです。
ウェインの幼馴染ケイティ・ホームズは、今トム・クルーズとの交際で話題になっていますが、彼女ってそんなに魅力的ですか。この作品では可もなく不可もなくといったところですが、こちらも今後に期待でしょうか。そもそも、ヒロインというほど出番は多くありません。というよりも全般的に登場人物が多く、そのいずれも大物俳優が演じているので、オールスター・キャストの顔見せ興行的楽しみがある反面、若手には些か分が悪い状況でもあるのですが。
その、脇を固めるのがマイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ルドガー・ハウアー、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマン、そして渡辺謙といった錚々たる顔触れです。
要注目!の渡辺謙は、バットマン誕生のきっかけを与えた重要なキャラクターとの触れ込みですが、その出演場面は短く、なおかつ前半(というよりも序盤)に集中してしまっているために、あっけなく退場してしまいます。これが同じ出演時間でも、出番が前半と後半に割り振られていたならば印象も強くなったのでしょうが、これでは「チョイ役」と言っても過言ではなく、たかが一本の作品で注目されたくらいでは、ハリウッドは東洋人俳優に決して甘くはないということでしょう。
同じように、序盤の中心キャラクターとなったのがリーアム・ニーソン。こちらは後半に再登場するのでだいぶ印象度合いが違います。やはりハリウッド・スターとして評価されているということなんでしょうね。ただバットマンの導師的存在という設定だけに、『スター・ウォーズ/エピソード1~ファントム・メナス~』や『キングダム・オブ・ヘブン』の影がちらつくのは致し方ないでしょう。
モーガン・フリーマンは、ポイントポイントに出てきて場を攫う儲け役。ゲイリー・オールドマンは珍しや(?)一度もキレない善人役で、実質後半中心の活躍ですが、それでも中盤から少しずつ露出しているのでトータルで出ていた印象は残ります。
満遍なく出ていたといえるのはマイケル・ケイン。前任者マイケル・ガフのイメージが強かったので、最初のうちこそ違和感残りましたが、最終的には一番のお気に入りキャラクターになりました。
これらアンサンブル・キャストで魅せるシリーズ再開の烽火は高々と掲げられましたが、問題はこれからでしょうね。ラスト・シーンは次回作を想定したものでしたが、シリーズ続行に当ってどこまでこのアンサンブルの質を維持出来るかどうか。期待して待ちましょう。
吹替版も同時公開されるということで、「さて字幕版と吹替版、どちらを見ようかな」と前売券買いながら迷っていたんですが、思いがけずに試写会で字幕版を見るチャンスを貰いました。
それじゃ今度は吹替版を。夏の大作だから9月上旬くらい、いや少なくても8月一杯くらいまでは上映しているだろうから、ほとぼりが冷めた頃にのんびりと見に行こうかな、なーんて考えていたんですが、公開一ヶ月足らずで上映規模がどんどん縮小、しかも真っ先に吹替版が打ち切りということなので大慌てで見てきました。どうも人気は今ひとつのようですね。
正直言うと、自分も完全に楽しんだとは言えません。主人公のクリスチャン・ベールは映る度に顔が違って別人に見えちゃうし(苦笑)、ゴデゴテしたデザインのバッドモービルも好きになれないし・・・という具合。それでも2回目、しかも吹替版だと作品世界への没入の度合いもかなり高まりましたので、最初から気負いなしに楽に見ればいいんでしょうね。ゲイリー・オールドマンの居心地の悪そうな演技(?)も、ハイテク苦手な真っ正直で不器用なオヤジが右往左往していると見れば好感度もアップ。
アメリカではヒットしているそうなので、続編の製作は決定と報じられています。クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマンらの続投も決まりのようです(多分ゲイリー・オールドマンも)。ただケイティ・ホームズだけは、一連のトム・クルーズとの結婚騒動がスタッフ側に敬遠されたのか、どうやら降板の見込みだとか。早くもブルース・ウェインには新恋人が登場することになるみたいですが、まぁ彼女が演じたレイチェルというキャラクターは、原作にない映画オリジナルのキャラクターだそうですから自由度は高いのでしょう。またラストで登場が”予告”されているジョーカー役には、ショーン・ペンの名前が挙がっているんだとか。この作品の延長線上にあるのか、それともまた別の方向性を持たせるのかはわかりませんが、公開を楽しみに待ちたいと思います。
もっと否定的な感想を書いているかと思いきや、思いの外好意的な意見を述べてますね、私や(苦笑)。確かにつまんないワケじゃないんですよね。登場人物は多いですが、時間をかけてじっくり描いていますし。
でも、やっぱり長過ぎて苦痛だし、”活劇”としてはどうなのかなあというのが素直な気持ちです。好きな人にはこのこってり感、たまらないのでしょうが。
さて次は『ダークナイト』ですが、こちらは一作目以上に見直すのが辛いなあ・・・。
【追記】
短期間に3ヴァージョンも吹替版が作られた作品も珍しいですね。
劇場公開(DVD&Blu-ray)版、日テレ版、フジ版全てを聴き比べてみるのも一興かと。
ウェイン:檀臣幸、東地宏樹、高橋広樹
デュカード:佐々木勝彦、津嘉山正種、若本規夫
レイチェル:小島幸子、高橋理恵子、木下紗華
アルフレッド:小川真司、中村正、岩崎ひろし
ゴードン:納谷六朗、山路和弘、大塚芳忠
フォックス:池田勝、坂口芳貞、阪脩
クレイン:遊佐浩二、関俊彦、内田夕夜
ラーズ:大川透、緒方文興、てらそままさき
ファルコーニ:稲葉実、石田太郎、楠見尚己
アール:石田太郎、小川真司、小川真司
こうして並べるとフジ版がやや異色?
また石田太郎や小川真司が別役で出演しているのが面白いですね。