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舞台『十三人の刺客』

明石藩主・松平斉韶の暴虐ぶりに頭を悩ます幕閣たちだが、十二代将軍・徳川家慶の弟とあって容易に処罰出来ずにいた。
だが家慶が斉韶を老中に抜擢する意向を示したため、老中・土井利位は斉韶暗殺を決意、御目付・島田新左衛門に密命を下す。
だが明石藩で斉韶の側用人として仕えているのは、かつての新左衛門の友・鬼頭半兵ヱだった…。

舞台『十三人の刺客』_e0033570_12483727.jpg脚本:池上金男、監督:工藤栄一のコンビで作られ、先年リメイク作品も作られた『十三人の刺客』を舞台劇として再構成したもので、8/3~18まで東京の赤坂ACTシアター、8/21~29まで大阪の新歌舞伎座にて公演しています。
脚本は鈴木哲也とマキノノゾミ、演出はマキノノゾミ、出演は高橋克典、坂口憲二、釈由美子、川村陽介、青柳翔、庄野崎謙、山口馬木也、水橋研二、春海四方、花王おさむ、小林勝也、袴田吉彦、西岡徳馬らで、8/5にACTシアターで鑑賞してきました。

オリジナル版で新左と半兵ヱを演じたのは片岡千恵蔵と内田良平、リメイク版でも役所広司と市村正親なので、それらに比べるとかなり若い主役陣ですが、釈由美子が演じる新左の妻というキャラクターが付け加えられ、師匠の娘である彼女を巡ってかつて二人は恋敵でもあったという設定を加えることで、より対決色を強めることに成功しているのではないでしょうか。

舞台『十三人の刺客』_e0033570_1249693.jpg勿論オリジナル版のファンからすれば「いらんことをするな!」となるかも知れませんが、今回の舞台版のターゲットはおそらく若者層。
TVドラマ版も含めれば映像作品が3作品、それに小説版もあるくらいの最早”古典”と呼べるような作品なだけに、こういうアピールの仕方もありますよ、と示したのは決して間違ってはいないと思います。

ところどころにオリジナルの要素を鏤め、笑えるシーンも設けるなど飽きさせない努力もなされている反面、ストーリーの運びはオリジナル版に案外忠実で、台詞も同じものがあるなど、決して蔑にはしていない点にも好感が持てました。
これで出演者たちがもっと時代劇の所作を身に付けていてくれればなお良かったのですが、それは今後の課題ということになりましょうか。
by odin2099 | 2012-08-12 12:50 | 演劇 | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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