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『マンハッタンの怪人』 フレデリック・フォーサイス

ガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』の続編、ではなく、これはアンドリュー・ロイド=ウェバー版ミュージカルの続編と言った方が良いだろう(フォーサイス自身が、ロイド=ウェバーとのディスカッションの中で構想がまとまったと語っている)。

ルルー版『オペラ座』のラストで、ファントムことエリクはおそらく死んだであろうことが示唆されているが、舞台版では姿を消すのみ。
そしてこの続編では当然のようにマダム・ジリーによって救いだされ、アメリカへ逃れたという設定になっている。

『マンハッタンの怪人』 フレデリック・フォーサイス_e0033570_2040692.jpg時は前作から13年後、あの忌まわしい事件の後クリスティーヌはラウルと結婚、ピエールという子供を授かり、自身は貴族の夫人として世界的な歌姫として名声を得ていた。
そこへニューヨークから新しいオペラ座のこけら落し公演への主演依頼が届く。
その依頼主の正体に気付いたクリスティーヌは、家族ともどもニューヨークを訪れ…という物語が、エリクやマダム・ジリー、メグ・ジリー(怪我をしてダンサーを断念した後、クリスティーヌの付き人になっている)、クリスティーヌに同行している神父、それに偶然一行と親しくなる新聞記者の独白、という形で綴られるのだが…なんだ、こりゃ?

ミュージカル版が好きで大切に思ってる人ならば、この作品は読まない方が良いと思う。
だって――ここからネタバレしますぞ――、ラウルとクリスには語られなかった過去があり、その因縁にはマダム・ジリーも関わりを持ち、その事件の結果あろうことかラウルは不能者になっていて、なんとピエールはクリスとラウルの子どもではなく、実はクリスとエリクの子どもだなんて…?!
そしてピエールを庇ったクリスは暗殺者の凶弾に倒れ、真実を知ったピエールはラウルではなくエリクを選んで去ってゆく…ってどういうドラマなんだろ?

ルルー版の原作からは繋がらないし(そもそもあちらではラウルとクリスの消息も明確にされてない。<ペルシャ人>とやらがそう語っているだけだ)、ミュージカル版と比べても矛盾点が出てくるし、エリクってプラトニックな想いを抱いていたんじゃなかったの?
クリスはいつエリクを受け入れる気持ちになったの?(クリスの話からすると強要されたワケでもなさそうだし)
古典作品を再構成したヴァリエーションとしてはこういうのもあって良いかとは思うけど、大ヒット・ミュージカルの「公式な」続編としては受け入れ難いわな。
Commented by みゆみゆ at 2012-08-15 19:15 x
これはイマイチだった記憶があります。
なぜ子どもが?!といった衝撃がありました(苦笑)

オペラ座は、ミュージカルの終わりが私の中では一番綺麗な終わり方かもしれません。
Commented by odin2099 at 2012-08-15 21:36
舞台版だとファントムは姿を消すだけですが、映画だと死んだ筈なのに実は生きてる?的なニュアンスを残してますよね。
でも、どちらにせよこのストーリーは戴けないなあ。
『ラヴ・ネヴァー・ダイズ』のDVD買っちゃったからそのうち見るけど、でも見るの怖い~(苦笑)。

それにミュージカルだとメグが明らかにファントムに魅せられているのに、続編ではそのあたりにちっとも触れてないのも不満。
それとも語られてないだけで、マダム・ジリーがエリクを助けた際、当然のようにメグも手を貸していたのかな。
by odin2099 | 2012-08-14 20:43 | | Trackback | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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