『宇宙刑事ギャバン THE NOVEL』 小林雄次/原作:八手三郎
2012年 10月 06日
特務刑事となったギャバンは、新パートナーのシェリーを伴い、ドルギランでアーム星へと向かった。彼の教え子である女宇宙刑事ジュリアとの連絡が途絶えたというのだ。だがアーム星で彼らを出迎えたのは、宇宙犯罪組織メトスの攻撃だった。しかもその尖兵となっていたのは、音信不通となっていたジュリア!ドルギランを奪われた烈は蒸着することも出来ず、絶体絶命の窮地に陥る。

まずギャバンは特務刑事として単身宇宙を飛び回り、かつてのパートナーであるミミーはバード星の宇宙刑事養成訓練所で後進の指導に当たっていて離れ離れ、という設定。『宇宙刑事シャイダー』最終回後の特番「3人の宇宙刑事 ギャバン シャリバン シャイダー大集合!!」ではミミーと結婚式を挙げることがギャバンの口から語られているが、それとは明らかに矛盾する設定だし、一ファンとしても二人は幸せに暮らしているものと思っていただけにガッカリだ。
またこの事件の直前、ギャバンは地球にいたことが語られる。その中ではかつてのアバロン乗馬クラブの子どもたちや大山小次郎と再会していたことも語られるが、最大のポイントは6人の宇宙海賊たちと出会っていたという件だろう。
マーベラスらの固有名詞こそ出さなかったものの、後半ではギャバンブートレグの名称が使われていることから考えても、これは『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン』を踏まえてのこと。だがあの作品におけるギャバンは「宇宙警察」所属の刑事、一方で今回の劇場版を含めた<宇宙刑事シリーズ>に登場する組織は「銀河連邦警察」なので、あれはパラレルワールドと解すべき。
まあこれらはお遊びに過ぎないだろうし、お遊びに一々目くじらを立てるのも大人げないとは思うものの、その他の部分で細かい設定を拾ったりもしているので、それならば中途半端なことはせず、意地でも辻褄合わせをして欲しかったものだが、そこまで望むのは酷だろうか。
宇宙犯罪組織メトスの背後にはドン・ホラーの影があり、コム長官からは「ギャバン」の名前を継ぐ若者を見つけて欲しいと言われていることや、プロローグとエピローグでギャバンが火星軌道で地球の宇宙飛行士を救出したこと、そして意識を取り戻した彼が宇宙刑事を志願したことが語られたり、シェリーに対してもっと若いパートナーと組むべきだと諭したり、というあたりが劇場版への伏線ということになるのだろうか。
ともあれ劇場版公開までもう少し。待ち遠しい。