シリーズ3冊目で長編
「アクメロイド殺し」と短編
「そして誰もしなくなった」の2篇から構成。
「アクメロイド殺し」は、なんといっても同じ世界を共有する<ダーティペア>と<クラッシャージョウ>の2大シリーズのクロスオーバーが売り物。
といっても両作品の時代設定は20年ほどずれているので、ダーティペアのケイとユリが共演するのは、ジョウの父・クラッシャーダンが率いるチームだ。
このダンのチームは、ハンサムだった頃のタロスや、新入り扱いされているバード、それに<ジョウ>の1巻で壮絶な死を遂げることになるベテランのガンビーノという編成で、後のジョウの愛機ミネルバに搭載されているロボットのドンゴや、クラッシャーたちが着用しているジャケットの謂れなども明らかに。
劇中ではケイとタロスが良い雰囲気になり、バードもケイに気があるそぶりを見せるが、<ジョウ>の世界ではタロスとバードが奪い合ったケイという女性が存在し、結果タロスが身を引いてバードと結婚するものの、若くして亡くなったことが語られるので、この二人のケイが同一人物では?と言われているがまだ明らかにされていない。
またユリもかなり年上のダンにお熱を上げている様子だが、やはり<ジョウ>の世界では幼少の頃に亡くなったジョウの母親の名前がユリアとされていて、こちらも同一人物説が取りざたされている。
今後、この謎を解き明かすエピソードが描かれる可能性はあるのか?
一方の「そして誰もしなくなった」には、<トラコンカンフー>のコードネームを持つWWWAきっての凄腕トラブルコンサルタント李酔竜、コードネーム<トラコンカンフー>が出てくる。
<ザ・ドラゴンカンフー>というシリーズがあるので、てっきり単なる自作パロディの類かと思っていたのだが、人気が出たのか本人が気に入ったのか、後に<神拳 李酔竜>というスピンオフ・シリーズの主人公になった。
トラコン同士で面識がない、というあたりにちょっと引っ掛かりがあるのだが(エースの李酔竜は当然として、ユリとケイの二人も’”悪名”だけは高いはず)、軽い読み物としては十分に楽しめる。