『ドルロイの嵐』<クラッシャージョウ外伝>1 高千穂遙
2012年 10月 31日

海洋惑星ドルロイの二代目総督カネーク・ジュニアの依頼で、ダンたちのチームはドルロイの再改造を請け負うことになる。ところがジュニアの真の狙いは、ドルロイの技術の粋を結集したアクメロイドの生産を強化し、海洋開発を進めようとする邪魔なキャナリーシティの市長クラーケンらをドルロイから一掃することにあった。
一方アクメロイド殺人事件の容疑者となったクラーケンは、この一件をWWWAに提訴。その結果、調査のためにケイとユリが派遣される、という筋書き。
『ダーティペアの大乱戦』はケイの一人称でクラーケン側から物語が進み、この『ドルロイの嵐』は三人称でカネーク寄りの物語が展開されていく。そして当然のことながらクライマックスは、クラッシャーとダーティペアが共同で殴り込みをかけ、派手なドンパチを繰り広げることになる。
両方読んでないと話がわからないということはないが、両方読んでみると「ああ、あそこはこうなっていたのか」とか「あの時××だったのは、実は△□だったからなのか」という楽しみ方が出来る。
こういった構成のお話というと、他には海堂尊の『ナイチンゲールの沈黙』と『ジェネラル・ルージュの凱旋』ぐらいしか思い浮かばないが、一見楽そうに見えて、整合性を取るのはなかなか難しそうだ。
朝日ソノラマ亡き後、絶版となったソノラマ文庫からハヤカワ文庫へ移籍を果した<クラッシャージョウ>シリーズだが、この外伝(別巻)は未収録なのが残念。早めの刊行を望みたい。