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『ドルロイの嵐』<クラッシャージョウ外伝>1 高千穂遙

ジョウの父クラッシャーダン、タロス、バード、ガンビーノらの若き日の大冒険を描いた外伝で、僕が持っている版では「外伝1」だが、後に出た”改定・新装版”では「別巻2」ということになっているようだ。

『ドルロイの嵐』<クラッシャージョウ外伝>1 高千穂遙_e0033570_19413328.jpgこの作品特徴は、何といっても『ダーティペアの大乱戦』と表裏一体になっていることだろう。
海洋惑星ドルロイの二代目総督カネーク・ジュニアの依頼で、ダンたちのチームはドルロイの再改造を請け負うことになる。ところがジュニアの真の狙いは、ドルロイの技術の粋を結集したアクメロイドの生産を強化し、海洋開発を進めようとする邪魔なキャナリーシティの市長クラーケンらをドルロイから一掃することにあった。
一方アクメロイド殺人事件の容疑者となったクラーケンは、この一件をWWWAに提訴。その結果、調査のためにケイとユリが派遣される、という筋書き。

『ダーティペアの大乱戦』はケイの一人称でクラーケン側から物語が進み、この『ドルロイの嵐』は三人称でカネーク寄りの物語が展開されていく。そして当然のことながらクライマックスは、クラッシャーとダーティペアが共同で殴り込みをかけ、派手なドンパチを繰り広げることになる。

両方読んでないと話がわからないということはないが、両方読んでみると「ああ、あそこはこうなっていたのか」とか「あの時××だったのは、実は△□だったからなのか」という楽しみ方が出来る。
こういった構成のお話というと、他には海堂尊の『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』ぐらいしか思い浮かばないが、一見楽そうに見えて、整合性を取るのはなかなか難しそうだ。

朝日ソノラマ亡き後、絶版となったソノラマ文庫からハヤカワ文庫へ移籍を果した<クラッシャージョウ>シリーズだが、この外伝(別巻)は未収録なのが残念。早めの刊行を望みたい。
by odin2099 | 2012-10-31 19:42 | | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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