『009/RE:CYBORG』 神山健治/福島直浩
2012年 11月 20日
ノベライズ版にも色々あって、シナリオをそのまんま引き写しただけのスケルトン小説もあれば、小説としての完成度を高めたいがゆえに全くの別物と化しているもの、没シナリオやプロットを元にしたアナザーストーリー等々枚挙に暇がありませんが、この小説は映画の進行を忠実になぞりながら、映像では表現できない、あるいはし難い部分を文章で表すという、ある意味で理想的な形になっています。
その為、映画と異なる展開やシーン、台詞は殆どありません。
映画に付け加えられた、水増しした場面もありません。
その代わりに内面描写や、映像からは読み取れない部分が”断定的に”記述されたりしています。
ジョーとジェットの確執とか、トモエの正体とか、ギルモア博士の思惑だとか、映画を見ていてわかり辛かったこと、腑に落ちなかったことなどの回答がここにあります。
純粋に小説として読んだ場合には物足りなさを覚えるかも知れませんが、副読本、サブテキストと考えれば十分な読み応えだと思います。