【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『ゼロの肖像/「トキワ荘」から生まれたアニメ会社の物語』 幸森軍也

TVアニメの黎明期に、売れっ子漫画家たちによって設立されたアニメ制作会社スタジオゼロ。まとまって語られることの少ないこの会社の実体に肉薄しよう、という趣旨で書かれたのがこの一冊です。

e0033570_9374364.jpgかってのトキワ荘のメンバーから鈴木伸一、藤子不二雄、石森章太郎、つのだじろうによって設立され、後に赤塚不二夫も参加することになるこの会社は、漫画家としてはプロでもアニメ製作者としては素人の集まりでした。
最初はなかなか仕事も決まらず苦しい経営状態が続きますが、最盛期には数十人のスタッフを抱え、複数のTVアニメ作品を並行して受注製作するに至ります。
しかしやがて作品が次々と終わり、遂には会社は事実上幕を下ろします(ただ現在でも解散や倒産はせず、存続はしています)。

これまでにもメンバー各人の著書や手塚治虫の著作などで断片的に語られることはあっても、会社として総括した文献は皆無でした。また一社単独で製作した作品もないため、日本のアニメ史を俯瞰するような書籍でも大きく扱われることはなかったと思います。大半のエピソードには聞き覚えがありはしたものの、当時のアニメ界においてスタジオゼロが置かれていた状況、漫画家各人の関わり方など初めて知ることも非常に多く、これは貴重な時代の証言集だなと感じました。
本書を道標として、更にトキワ荘グループ並びにスタジオゼロに関する調査・研究が進むことを願ってやみません。それは日本文化史上で大きな位置を占めることに繋がるでしょうから。
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by odin2099 | 2013-01-26 09:39 | | Trackback | Comments(0)
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