『おやすみラフマニノフ』 中山七里
2013年 02月 10日
『さよならドビュッシー』に続いて、ピアニスト岬洋介が登場するミステリー物です。
今回は前作と違って殺人などの殺伐とした事件は起きないので、そういうものが苦手な人でも楽しめると思います。また前作はヒロインの遥が一人で頑張っていくお話でしたが、こちらはオーケストラが中心なので、色々な登場人物たちと主人公である晶がどう関わっていくかに主眼が置かれています。
ストーリーの連続性はなく継続してくるメインキャラクターも岬洋介だけですが、前作のとあるキャラが意外な再登場をしたり、前作での出来事にチラっと触れていたりで、続けて読んでいると得した気分になれます。
文章は前作同様に一人称。途中までの展開から、もしかすると前作と同じような種明かしがあるのではないか、と危惧していましたが、二重三重にどんでん返しが行われ、前作よりは納得のいく謎解きになっていましたね。こちらの方が映像化しやすいかも知れませんが、ただこれを映像で描いてしまうとあっけない部分もあるので、やはり難しいのかも。今公開中の『さよならドビュッシー』の映画がヒットすればこの作品も、という声が出てくるかも知れませんが、よほど上手く脚本を練らないと、主人公以外が薄っぺらい登場人物たちを活かすことが出来ないでしょう。
「音楽は職業じゃない。生き方だ。」 おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)中山 七里宝島社 * * * * * * * * * 「さよならドビュッシー」でお馴染みの中山七里作品です。 題名でもわかる通...... more
おやすみラフマニノフ (『このミス』大賞シリーズ)作者: 中山 七里出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2010/10/12メディア: 単行本 先日pistacciさんからご紹介していただいた本です。 映画化された、『このミス』大賞「さよならドビュッシー」の第2弾。 昨年のドビュッシー展は逃してしまいましたが、 ラ・フォル・ジュルネでラフマニノフをたくさん聴きました。 ということで、ドビュッシーはよくわからないからラフマニノフを。 ... more