第二次大戦下のナチに政治利用され、戦後は戦犯扱いされたフルトヴェングラー、その彼を題材にしたお話ということで興味を持って見に行きました。
ロナルド・ハーウッド作、行定勲演出、天王洲銀河劇場にて鑑賞。
取り調べを担当する米軍のアーノルド少佐(筧利夫)は、クラシック音楽に全く興味を持たずフルトヴェングラー(平幹二郎)の存在さえ知らないという男。
かつてピアニストだったユダヤ人の夫を救われたという未亡人のタマーラ(小島聖)やベルリン・フィルで第二ヴァイオリンを務めていたローデ(小林隆)らは、如何にフルトヴェングラーがナチに批判的で多くのユダヤ人音楽家を助け、また偉大な音楽家であったかを語り、また記録係のエンミ(福田沙紀)や部下のデイヴィッド中尉(鈴木亮平)が敬意を払って接するように懇願しても、端からフルトヴェングラーをナチの手先だと決めてかかっているアーノルドは聞く耳を持たない。
やがてローデの弱みを握ったアーノルドは彼を恫喝し、執拗にフルトヴェングラーを追い詰めて行く…。
フルトヴェングラーに肩入れしてしまったということもあるのですが、終始「頭の固い軍人」が権威をかさにきて、「哀れな民間人」をいたぶっているようにしか見えませんでした。
これで最後に双方の歩み寄りでもあればまた違ったのでしょうが、結局は平行線のままで何も解決しないまま。
物語の中では直接は語られていませんが、後にフルトヴェングラーの嫌疑は晴れますのでアーノルドは失敗したということになるのかも知れませんが、何とも後味の悪いお芝居でしたねえ。
また以前見たお芝居でも感じたのですが、筧利夫が早口でまくしたてる台詞の応酬は、何を言っているのか聴きとり辛いこともあり、お芝居の中に入り込む妨げでもありました。
どうも自分とは感覚が合わないようです。