『新宇宙戦艦ヤマト』 松本零士
2013年 04月 12日

それでも宮川泰作曲のイメージアルバムが発売されたりでTV&劇場アニメ化に向けて順調に進んでいるのかと思いきや著作権問題のあおりを食らってTVシリーズ『大銀河シリーズ 大ヤマト編7vs7』とかいうモドキ企画に鞍替えし、更にOVA『大ヤマト零号』となるも中断し、最終的には唐突に『大YAMATO零号』と改題の上に力技で完結させちゃった、という曰く付きの作品がコレ。
で、久しぶりに読み返してみたものの……色々な意味でヤバイな、これは。
まず設定がトンデモ。ヤマト乗組員の直系の子孫たちは、ご先祖の名前をストレートに受け継ぎ(例・古代進32世)、DNAのなせる業か?なんてノンキなことを言ってるけど記憶まで受け継いでる、ってのはどーよ?「電影クロスゲージオープン」が古代家代々に伝わる寝言だなんて、ハッキリ言って怖すぎる。
また”永遠の恋人”古代進と森雪はそれぞれ別に子孫を残したらしいけど、それって双方の配偶者が可哀想じゃね?
そして例によって展開が遅すぎ。見開きの大ゴマを使ってページ数を稼ぎ、思わせぶりな台詞を連発するばかりで一向に謎解きをしない不親切さ。ダークィーンやメタノイドを出して他作品とのリンクを張っておきながら、明らかに矛盾する世界観。中断したまんまだけど、もし続いていたらハーロックやらメーテルやら鉄郎やらが出てきたことは間違いなかったんだろうけど、これじゃあ全然繋がらないよ。
その後、まさかまさかの紆余曲折を経て、正統派(?)「ヤマト」が『復活篇』で文字通りに復活し、おまけに『2199』というリメイク作品まで作られていることを考えると、漫画は中断、アニメ化は頓挫で、結果的に良かったんじゃないのかな。
ところで劇中でとある人物がこんな台詞を宣うております。
「ヤマトなど存在するはずがない!!空間の概念も時間の概念も光重力の概念についてさえも無知な………
それで何もかも この宇宙さえ自分でつくったと思い込んでいた哀れな男が、1000年前に粉砕したことになっているのだ。」
さーて、誰のことだ?