『アバラット』 クライヴ・バーカー
2005年 11月 30日
といっても、書名も著者名も知っていますが、読んだことはありませんし、今のところ読むつもりもありません(笑)。
なのでそのことがどれ程の”事件”なのかはわかりませんが、かなり話題になっていたようです。
僕が気になったのは、『オズの魔法使い』や『ナルニア国ものがたり』の影響を受けて書かれた、ということと、全4部作構想で既にディズニーでの映画化が決まっている、ということでした。
翻訳が出たのは2002年の末のことだったと思いますが、帯にも「ディズニー映画化」の文字が躍っていますし、2004年クリスマスに公開、なんていう具体的な話もありましたっけ。とっくに2004年のクリスマスは過ぎてしまいましたが、さて、どうなってしまったのでしょうね?
確か去年の秋ごろには、脚本家が決まったのどうの、というニュースも流れていたいましたけれど、最近は話題にもなっていません。
一頃はファンタジー小説の映画化権を取ろうと躍起になっていたディズニーも、結局は『ナルニア国物語』映画化に一枚噛むことになったので、優先順位が下がったのかもしれません。

買い直すのも癪ではあったんですが、やはり手頃なんで購入。読んでみました。
お話を簡単に説明すれば、異世界<アバラット>に彷徨いこんだ少女キャンディの冒険物語、ということになるのですが、一つの時間ごとに一つの島があるというこの不思議な世界の設定、これがまずピンときませんでした。
登場するキャラクターも一癖も二癖もある連中ばかりですが、その造型も含めて作者の奔放なイマジネーションの嵐には翻弄されっぱなしで、つくづく自分は想像力が乏しいなぁと痛感した次第です。
まだまだ物語は端緒に着いたばかりということもありますが、どうも今ひとつ馴染めません。これで2巻、3巻、そして完結の4巻まで読めば納得出来るのでしょうかねぇ。ちょっと不安ではありますが、でもせっかくの乗り掛かった船、最後まで乗って行きたい気持ちは充分にあります。
また、読む前は『ハリー・ポッター』の肖り作品なんじゃないの、と思ったりもしたんですが、ちょっと毛色が違います。ああいうテイストを求めている人には全く向かない作品だと思います。
なお挿絵が素晴らしいと書きましたが、残念ながら文庫本では全て割愛されてしまっています。この挿絵あっての『アバラット』ですから、これから読もうかなと思っている人には、なるべくなら文庫本ではなく、ちょっと大変ですけれどもハードカバーの方をお奨めしておきます。