『写実画のすごい世界』
2013年 07月 17日

うわー、凄く綺麗な写真だなあ。え、これ絵なの?

――というのが「写実画」を意識した最初。
そういうジャンルがあるのを知ったのはここ数年だけど、ふと振り返ると西洋絵画でもギュスターヴ・クールベとかウィリアム・アドルフ・ブグローとかジョン・ウィリアム・ウォーターハウスらが描く裸体画に惹かれるものを感じていて、その一方で抽象絵画はまるで受け付けないし、印象派も今一つだったから、好みが段々と変わってきたのではなく最初から一貫していたのだろう。もしかするとその原点は、映画のポスターや映画館の看板にあるのかも。

そのうち日本でも近年になって(?)こういうジャンルが注目されていることを知り、雑誌やTV番組で紹介されたり、この本にも取り上げられている島村信之や森本草介といった方々の画集を、たまたま手に取って気に入って購入したりもしたのだけれども、何せ現役の画家なのでなかなかまとめて見る機会がない。今回みたいに色々な画家の様々な作品を一冊にまとめてくれたのは非常に嬉しい。

写真みたいなのが好きなら写真で良いじゃないか、という意見もあるだろうが、写真では見たくないもの、見せたくないものが見えたり、逆に見せたいものが映らなかったり、ということがあるし、作品として完成した暁にはそこに創作者の何らかの思惟が色濃く描き出される、というのがポイントなんだろうと思う。

ただ、今後直接写真を加工して思うままの風景、しぐさ、表情、感情…等々を表出させる手法が一般化されたなら、そちらの方により興味を抱くようになるかも知れないが……。