『歌舞伎 家と血と藝』 中川右介
2013年 08月 19日
現在の歌舞伎座スタート時に一演目でも主役を勤めた役者のいる家を名門家と規定(市川團十郎家、尾上菊五郎家、中村歌右衛門家、片岡仁左衛門家、松本幸四郎家、中村吉右衛門家、守田勘彌家の七家)。明治以降(これは「九代目市川團十郎の世代から当代の市川海老蔵までの五世代」とも置き換えられています)に、その七家で家系と血統と藝がどのように継承されて行ったか、そして歌舞伎座の座頭を巡ってのどのような権力闘争を繰り広げたのかを描いています。

また家系図などもふんだんに盛り込まれていますので、誰と誰が実は兄弟とか従兄弟とか、或いは実際には血縁でも何でもなかったり、などという歌舞伎役者同士の不思議かつ複雑な繋がりも見えてきます。まあ名門家ともなれば、大半の人が親戚同士というのが実情なのでしょうが。
正直言いますと一人の人が何度も名前を変えたり、家単位とはいえ基本親戚ですから同じ人があちらこちらの家の物語に顔を出したり、また同じ名前を襲名しますので「○代目」などという呼称付きで記されていたりもしますので、途中でかなり混乱をきたしたりもしたのですが、繰り返しで説明もされますので大まかな流れは掴めます。流れさえ掴めればあとは一気呵成に読み進められるというものです。
しかし本当に歌舞伎役者さんたちの関係は複雑ですねえ…。