『009ノ1/THE END OF THE BEGINNING』(2013)
登壇者は木ノ本嶺浩、長澤奈央、市道真央、坂本浩一監督の4人で、主演の岩佐真悠子はフランスからの中継参加。実はこの作品がパリで開催されるエトランジェ国際映画祭のオープニング作品に選ばれ、その舞台挨拶のためにフランス滞在中とのことでした。
「日曜朝では出来ないことを」というのが本作のテーマだそうですが、それは端的に行ってエログロの部分ですね。『トラベラーズ/次元警察』よりも血しぶきが飛んでいます。それに水着の女性が闊歩したり、ストリッパーが出てきたりでヌードも解禁。といってもメインキャストではありませんがね。
メインキャストではちょっとレズっぽいシーンやら男女のSEXシーンやらがあって、これは確かにニチアサでは無理なシーンではあります(監督が「長澤奈央や市道真央が、あんなことやこんなことを…?」と言っていたシーンでしょう)。ちょっと後味は悪いかも知れません。

では何が売りかと言えば、それはもうヒロインアクションに尽きます。
常連女優の長澤奈央は当然として、『海賊戦隊ゴーカイジャー』以来となる市道真央も結構動かされています。JAEのアイドルグループwipe out(当時)の3人――人見早苗、下園愛弓、佃井皆美――が揃って参加しているのも嬉しいですし、岩佐真悠子も思ったよりは良かったです。悪役でしたけど緑川静香は…監督好みの新星なのかな。
デビュー当時は注目していた岩佐真悠子でしたが、その後は近年の『帰ってきた天装戦隊ゴセイジャー/last epic』などを見ても精彩を欠いてるなあという印象でしたが、今作ではシャープでクールな女性を体現。といっても激しいアクションシーンが多かったとはいえ、本人以外のスタントの起用が目立ったのは興ざめでしたね。
それにミレーヌ・ホフマンを演じる以上は、ヌードも辞さずの覚悟は必要でしょう。後ろ姿や肩から上のショットだけでは如何にも「ごまかしています」という雰囲気がありあり。不必要に脱ぐ必要はありませんし、これは本人だけの責任ではないのかも知れませんが、『009ノ1』というビッグタイトルを背負うという意気込みは見せて欲しかったものです。写真集では結構頑張っていたなあという印象だったのに…。
自分は原作ファンで作品に対する思い入れが強すぎるので、安易に実写映像化して欲しくないという気持ちと、このスタッフとキャスト、公開規模や予算ならば別物にならざるを得ないという諦めの気持ちの両方を持っているので、どこかにそのやり場のない想いをぶつける矛先を探さざるを得ない、というのも理由かも知れませんが。
『009ノ1』だと思わなければ、それなりに楽しめる作品でした。
杉本彩、本田博太郎、竹中直人らが怪演。舞台挨拶も和気藹々、現場の雰囲気の良さがいつもながらこちらにも伝わってきますし、坂本監督の「次」も楽しみです(桜庭一樹原作の『赤×ピンク』)。どうやら撮影がオールアップし、現場からそのまま駆けつけた様子。上映終了後もロビーで気さくにファンの握手に応じてましたね。
【ひとこと】
坂本監督の次回作『白魔女学園』のチラシを貰ってきたら、監督のことが「アクションとフェチの伝道師」と紹介されてました……(^^ゞ

狂った世界のたった一人のモンスター 世界がウエスタンブロックとイースタンブロックに分断された近未来。 ミレーヌ・ホフマン=通称0091(ゼロゼロナインワン)は、ウエスタンブロックの特務組織“ゼロゼロ機関”によって作り出されたスパイ・エージェント。幼い頃の記憶を失った彼女は、サイボーグ化された自らの肉体を最大限に活用し、冷酷非情にミッションを遂行していく。 ある時、そんな彼女に“Dr.クラインを奪還せよ”という新たな指令が下されるのだったが。(「allcinema」より) ...... more