『宇宙戦艦ヤマト大クロニクル』 伊藤秀明:編著/松本零士:監修
2013年 10月 05日
つい最近出た本のような気も、反対に随分と前に出た本のような気もします。それだけここ数年「宇宙戦艦ヤマト」を取り巻く環境が大きく変わったってことですね。
2009年暮れに『宇宙戦艦ヤマト/復活篇』が公開され、2010年の暮れには『SPACE BATTLESHIP ヤマト』が公開され、2012年春から『宇宙戦艦ヤマト2199』がスタートして今に至りますので、何気にかつての『宇宙戦艦ヤマト』劇場版公開から『宇宙戦艦ヤマト/完結編』公開までに匹敵するようなムーブメント。勿論そのスケールは雲泥の差ですが、何となく嬉しくなってきます。
この本は『SBヤマト』公開前後のタイミングで出版されています(巻末には出版前に急逝した西崎義展に対する松本零士の追悼のコメントが追加されています)。
パート1のTVシリーズ中心の編集で、今となってはかなり貴重な資料群を満載。少々値は張りますが、カラーページをふんだんに盛り込んだかなり豪華な逸品。「ヤマト」ファンを自任する人なら、やはり手元に置いておきたい一冊でしょうか。
ただ製作会社の倒産や西崎義展の逮捕・収監、更には松本零士との係争中ならわからなくもないのですが、総じてかなり松本零士寄りの編集スタンスなことと、『復活篇』公開後にも関わらず一切触れていないことは一「宇宙戦艦ヤマト」ファンとしては非常に寂しく思います。また劇場版「宇宙戦艦ヤマト」シリーズDVDに封入されている解説書同様、記述内容に幾つか誤りが散見されるので、この本を引用元としてそれが拡散してしまうことを懸念してもいます。
そういえばどちらの執筆にも関わっていた「ヤマト」ファン第一世代の代表格とも言える編者の方は、先頃鬼籍に入られてしまわれたのが残念です。