『陰陽師/蒼猴ノ巻』 夢枕獏
2014年 04月 02日
どこが良いのかと問われると困るのだが、新刊が出るたびに必ず手に取っているシリーズの一冊。
今回収録されているのは「鬼市」「役君の橋」「からくり道士」「蛇の道行」「月の路」「蝦蟇念仏」「仙桃奇譚」「安達原」「首をかたむける女」「舟」の十篇で、いずれも「オール讀物」に掲載されたもので、中には九頁ほどの”超短編”も。
主人公であるはずの晴明が登場せずに、博雅だけだったり道満だけだったりと変化球も用意しているのが長く続いているシリーズ物の強みであり、また過去作品を踏まえた内容だったり、過去作品に登場した人物がまた顔を覗かせたりというのもシリーズ物の楽しみの一つ。
またあまり奇を衒った展開に持ち込まず、ともすれば過去作品の引き写しに近いような内容のものも少なくないのが、かえって長く続いている秘訣なのかも知れない。
能う限り付き合っていきたいシリーズだ。
今回は電子書籍のセルフパブリッシングの紹介です。 拙著『隣の陰陽師』シリーズ第二弾が出ましたのでおしらせします。 第二弾は『隣の陰陽師 弐──怨念の共鳴』です。 以下はAmazonに掲載している紹介文より。 ──── 憑きもの落としに失敗した流雲は、次に憑か…... more