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『トリトン』 鈴木宏昌&コルゲン・バンド

自主制作盤として発売されたレコードが、まさかのCD化!

『海のトリトン』のBGMを、ファンの要望に応える形で作曲家自らが再アレンジし、バンドを率いてレコーディングしたというLP、当時の「アニメージュ」や「ロマンアルバム」に広告が出ていたので非常に気になってました。


『トリトン』 鈴木宏昌&コルゲン・バンド_e0033570_21050567.jpgといってもその頃の『トリトン』は”幻の名作”といったイメージで、実は全く見たことがありません。
ただしコロムビアから発売された「ドラマ編」LPレコードは聴いていたので、ドラマの面白さや音楽の素晴らしさの一端には触れていました。

そのBGMのレコード化ということで興味があったのですが、オリジナルではなく再録音というのは気になりましたし、何かで実際にLPを購入したファンのネガティブな反応を見かけた時は「やっぱりね」という気持ちになりましたね。

また後に「テーマ音楽集」と題して本家本物のオリジナルBGMがリリースされたので、いよいよ紛い物みたいに思えたものです。
何年か経ってから中古レコード屋で見かけたこともあったのですが、結局購入するには至りませんでした。


そんなLPが今頃になって唐突にCD化、ということで半ば恐る恐る購入。
その前に<Digital Trip>シリーズでシンセサイザー・アレンジされたヴァージョンを聴いていたので免疫はあったのですが、それでも気に入った音楽がどんなアレンジに…と思って聴いていたら、おお、これはイメージ損なわない良いアレンジではないですか。


でも、当時このLPを買ったファンが失望したという気持ちもわからないでもないですね。
どんなに録音状態が悪かったとしても、どんなに演奏が下手だったとしても、やはり「オリジナル」に勝るものはないのも事実ですしね。


しかしライナーノーツを読んでいると色々と興味深いことが。
当時発売されたLPは版権の都合でキャラクターの絵などが一切使えず、白地に「トリトン」の文字だけを打ったシンプルなジャケットになってますが(CD化にあたってそれを再現。タイトル文字は読めなくなっちゃってますが)、これは西崎義展プロデューサーがBGMのレコード化に反対し、使用を認めなかったというのが理由なんだそうで。


うーん、意外……。
そんな西崎プロデューサーも、後に(映画版公開に併せたとはいえ)オリジナルBGMの発売を認めるんだから不思議なものだけど、そういえば「宇宙戦艦ヤマト」も「交響組曲」は出したもののオリジナルBGMのレコード化がなったのはかなり後だから、なんかポリシーがあったのかもしれませんねえ。
また「トリトン」劇伴作曲に当たっては、西崎プロデューサーの関与が一切なかったというのも初耳でした。


ちなみに今回のCD、マスターテープの紛失により現存のLPより復刻したもの、とライナーノーツにあったので一抹の不安を覚えましたが、ノイズだらけで聴きづらいということもないのでほっと一安心。
ただこうなると一刻も早いコロムビア版「テーマ音楽集」の復刻が望まれますなあ(勿論再構成した<完全版>の方がより嬉しいですが)。
CD化されたのがカヴァー盤2枚だけ(<Digital Trip>もCD化済)で、オリジナルが出てないのは何とも寂しい話です。


by odin2099 | 2014-05-10 21:16 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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