『ホビット/竜に奪われた王国』
2014年 08月 15日
『ロード・オブ・ザ・リング』の第二部は、第一部のラストシーンではなく、ガンダルフとバルログの対決シーンの回想からスタートしましたが、『ホビット』の第二部は同じ回想でも新撮シーン、物語が始まる1年前の、ブリー村は「踊る仔馬亭」でのガンダルフとトーリンとの出会いのシーンから始まるという構成でした。
普通ならこの手の作品は冒頭に「前作までのあらすじ」を付けるパターンが多いんじゃないかと思いますが、一見さんお断り、きちんと予習復習して来いよ、ということなんでしょうか。独立した一本の映画として捉えるならば、これはアリだと思いますけどね。
前作はビルボとガンダルフ、それにトーリン率いるドワーフの御一行様以外では、エルフがちょこっと出ますけど後はトロールとかオークとかワーグとかのクリーチャー系ばかりで、それはそれでお好きな人は良いけれど些か単調でもありました。
それに比べると今回は、人間も出るしエルフもたっぷり出るし、それに竜のスマウグも登場するという具合に画面作りも派手。荒野や山、森にほぼ限定されていた舞台の中にも人間の街が出てきたりとバラエティに富み、前作よりも見やすくなっていると思います。
人間?ドラマというか恋愛モノの要素も持ち込まれて彩を添えていますし、決してレゴラス無双だけがウケたワケではなさそうです。
しかし物語上で若干気になるのは、指輪とアーケン石の存在が被っていること。
元々「指輪の魔力」が描かれるのは『指輪物語』になってからで、『ホビットの冒険』の世界では便利アイテム、不思議アイテム以上の扱いではなかったと思うのですが、『ロード・オブ・ザ・リング』でのビルボ、ゴラム、それにフロドの描写を踏まえ、この作品で既にビルボが魔力に魅せられている様が表現されています。
一方、本来の『ホビットの冒険』でその業を担うのは、ドワーフを縛り付けているアーケン石。
トーリンが父祖のように憑りつかれてしまうのか、それともその呪縛を解き放つのかが三部作通じてのポイントとなるはずですが、二番煎じというか焼き直しのように見えてしまうというか、一つの作品で二人のキャラクターが、別々のアイテムに対して同じようなストーリーを繰り広げることに不自然さも感じてしまいます。
次の完結編でどう決着をつけるのかが楽しみでもありますが。
その第三部=完結編、そのラストシーンがどうなるのかはちょっと気になってます。
というのは第一部の冒頭は『ロード・オブ・ザ・リング』一作目と同様にビルボの誕生日から始まり、途中でフロドはガンダルフを迎えに出かけて行って退場し、60年前のシーンへと移ります。
となると第三部のラストは再び現在――60年後のビルボの誕生日で、ガンダルフがビルボを訪ねるところで幕を下ろすのではないかなと思っているのですが、如何でしょう?
そうなると『ロード・オブ・ザ・リング』三部作と『ホビット』三部作が単純に繋がるだけでなく、円環上になるのですが……。
前回の観賞記事はこちら。