『ホビット/竜に奪われた王国<エクステンデッド・エディション>』(2013)
2014年 11月 18日
第一部『思いがけない冒険』はそれだけで完成度が高かったのでしょう、<エクステンデッド・エディション>は細かくシーンを足してキャラクターをより掘り下げたものになっていましたが、その一方で公開版との差異はそれほど目立たない作りでした。
ところがこの第二部『竜に奪われた王国』では第一部同様の趣向に加え、公開版では割愛されたキャラクターが登場するなど、かなり興味深いものになっています。
冒頭のブリー村、”踊る仔馬亭”でのガンダルフとトーリンの会話から既に膨らまされ、そもそもの物語の出発点がよりわかりやすいものに。ビヨルンの出番も増えて原作に近いシーンも復活していますし、闇の森で一行が迷うシーンがかなり長くなっています。この辺りは些か冗漫に感じられる部分ですが、湖の町のシーンでバルトや統領たちが肉付けされたりと全体的には好印象です。
ビルボやトーリンの内面に迫るシーンも増やされ、ビルボが指輪に魅せられていく様、トーリンがアーケン石に憑りつかれていく様も強調されています。
が、最大のサプライズはガンダルフがドル・グルドゥアを調べに行くシーン。公開版ではここでサウロンの復活とアゾグとの関係性が強調されるだけですが、<EE>ではなんとトーリンの父スラインが出てくるのです。
原作ではガンダルフとスラインはもっと早くに会い、その際に地図と鍵を預かるのですが、映画版では別の機会に既に地図と鍵を預かったガンダルフがトーリンを旅立たせているので、同じようなシーンでも意味合いが違ってきています。
『ロード・オブ・ザ・リング』との整合性も強まっているように感じられますが、この辺りは三部作が完結した後のお愉しみといったところでしょうか。