『宇宙戦艦ヤマト2199/星巡る方舟』 豊田巧/原作:西崎義展
2014年 12月 22日
豊田巧の手になる『宇宙戦艦ヤマト2199』ノベライズの3冊目。
相変わらず細かい部分での差異が目立つが、これが著者オリジナルの部分なのか、それとも準備稿等の描写に基づくものなのか…。
またこれ単独で読む人も少なくなかろうという配慮なのか、メインキャラクターに関しても言わずもがなの記述があったりする親切設計となっている。
以下、細々とした映画版との違いをランダムに上げてみると――
○土方、齊藤始、桐生の父の出番はない。
○観測室での記念撮影時、映画以上に挙動不審な山本。
○コスモシーガルを2機、コスモゼロを1機スクラップにした古代は、甲板員たちに「戦術長が操縦すると機体が壊れる」と噂されている。
○古代に「薫」と呼ばせたり、「古代くん」と呼んでしまって顔を赤らめる新見女史。
○バーガーは最初から古代たちがザルツ人でないことに薄々感づいていた。
○レーレライ・レールは方舟の全てを把握している訳ではなく、古代アケーリアス文字(レーレライには読めない)を解読した桐生によってその全貌を知る。
○最終決戦でバーガーは艦載機で出撃。バーガーとネレディアの要請によって、古代が連合軍の戦闘指揮を執る。
○根本は撃墜されない。
○メガルーダを攻撃するのがヤマトなのは同じだが、座礁したミランガルを救出するため、というシチュエーションは存在しない。
○それとは別にミランガルは窮地に陥るが、それを救ったのはバーガーの特攻。
○ネレディアがバーガーに愛を告白?
○篠原が沢村と桐生の仲を冷やかすシーンがある。
○ラスト、古代とバーガーの”友情”が強調されている。
他にも色々あるが、後は映画を観、小説を読んでみてのお愉しみ。
ヤマトとガトランティスの戦い方が違ったりするのは、これは絵で見せる映画と、字を読ませる小説とのジャンルの違いからくるものもあるのだろう。
シリーズ正編(上下巻)よりも総じて読みやすい文章になっているのもまた良し。