『仮面ライダー鎧武/サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』
2014年 12月 28日
番組のサイクルが10月スタート9月終了となったことで、8月公開の夏映画(今回は7月公開だったけど)は、制約が大きくなったんだろうと思う。TVシリーズがクライマックスを迎えている時期にそれに匹敵する、或は凌駕するスケールの大きな物語を用意するのはなかなか容易なことではないだろう。しかもTVの邪魔をすることなしに、である。
舞台はヘルヘイムの侵蝕を受けていない平和な沢芽市。若者たちはダンスバトルではなくサッカーに興じているという、我々が知っているのとはちょっと違う沢芽市だ。裕也、初瀬、シド、それに貴虎らシリーズ中に退場してしまったキャラクターも登場とあって、一見するとパラレルワールドでの番外編かと思いきや、一応はシリーズのある地点から分岐しているというエクスキューズを用意して辛うじて枠からはみ出さない配慮がされている。
アーマードライダー大集合によるクライマックス・バトルなど見せ場も多く、TV版への言及もあって改めて観直してみると決してつまらなくはないし、映画としての出来も決して悪いとは思わないのだが、やはりワールドカップに迎合したであろうサッカー要素の導入は唐突な感が否めない。ジェフの佐藤勇人、ジュビロの駒野友人、それに元日本代表のゴン中山を出すくらいならば、メインキャラの中で唯一出番のない紘汰の姉・晶を出す方が遥かにファンサービスではないだろうか。
ところでこの劇場版公開の頃からTVの『鎧武』はずっとご無沙汰だったので、これを機に最終回まで一気に約2か月分を観てみたのだが、その最終回がこの劇場版の後日談になっていたのには驚いた。これによってこの劇場版世界も見事『仮面ライダー鎧武』という番組の一部として組み込んだのはお見事。例えそれが蛇足に近い扱いであったにせよ。
劇場公開時の記事はこちら。