『追憶の航海』から『星巡る方舟』へ
2015年 01月 10日
昨年12月に公開された『宇宙戦艦ヤマト2199/星巡る方舟』も、一部の劇場を除いて上映が終了。トータルの興行成績がどれくらいだったかはわからないが、年末年始の5週間を乗り切ったことで上映スクリーン数が違うので単純に比較は出来ないものの、『復活篇』よりは手応えがあったのではないか、と思っている。
最寄り劇場の最終上映に際し、先ずは『宇宙戦艦ヤマト2199/追憶の航海』を再観賞。観直す度に好印象なのはおそらく見慣れてきたことと、自然に脳内補完してしまっているせいもあるだろう。
少なくてもオリジナル版――旧作パート1を再編集した劇場版よりはドラマとしてしっかりと構成され、納得のいく作り。辻褄合わせに科白を取り直すことなしでも矛盾点はない。
そして『星巡る方舟』。
『追憶の航海』でカットされた部分、例えば<ジレルの魔女>ミレーネルによるヤマトへの感応攻撃であるとか、古代守と新見薫との交際、スターシャとの経緯、島と山崎の確執等々のエピソードが、言ってみれば根幹の部分に横たわった物語作りなために、実際には二本の劇場版が相互補完する関係にないのは謎で、それならばもっと『追憶の航海』を単独の劇場用映画としてまとめて欲しかったという思いは強いのだが、一方でこの『星巡る方舟』を独立した「宇宙戦艦ヤマト2199」の一エピソード、24.5話として純粋に愉しむことが出来たのは望外の喜びでもあった。
沖田とドメルの次世代の交流は、旧作の古代とデスラーではなく古代とバーガーになりそうだが、作品世界に大きな影を落としたガトランティス、古代アケーリアス文明とジレル人、いずれも「次」への期待を持たせるものばかり。ヤマトの次なる旅立ちを心待ちにしている。
【ひとこと】
噂によれば『星巡る方舟』はソフト化に向けてリテイク作業中なのだとか。となると今後この<劇場公開ヴァージョン>は貴重な存在、というより封印される可能性も高いということか、『第七章』の初公開ヴァージョン同様に。
【ひとりごと】
どうしても沖田艦長の声が別人に聞こえてしまう……。