『グレートマジンガー対ゲッターロボ』
2015年 02月 18日
『マジンガーZ対デビルマン』も『マジンガーZ対暗黒大将軍』も、『マジンガーZ』というTVシリーズに沿ってお話が作られていた。
空飛ぶ翼ジェットスクランダーの登場、Zからグレートへの交代などをTVに先駆けてお披露目する、TV版とはパラレルな世界の物語、というワケだ。
ところがこの作品はそうではない。
TVの『ゲッターロボ』とも『グレートマジンガー』の世界とも違う、いわば第三の世界が舞台になっている。
この世界には恐竜帝国のメカザウルスも、ミネーネ帝国の戦闘獣も存在しないのだ。
ではゲッターやグレートは何のために存在しているのか、早乙女研究所や科学要塞研究所は何をしているのかというと、これは明確ではない。
ただ両者ともライバル意識を燃やし、時にはいがみ合いながら世界の平和を守るために活動をしてるらしいことが伺えるのみである。
物語の構造を単純にするための改変だろうと思うし、実際に謎の円盤に操られる宇宙怪獣ギルギルガンとの戦いに集中させるためには悪くない判断ではあるとは思うものの、一方で作品世界が狭く感じられてしまうのは問題だろう。
平たく言うと、グレートマジンガーとゲッターロボという、互いに歴史(=輝かしい戦歴)を背負った二大ヒーローの共闘というより、言ってみれば「地球防衛軍」的な大きな組織の、別々の二つの部署が協力し合ってるに過ぎないような矮小さを感じてしまうのだ。
剣鉄也も流竜馬をはじめとするゲッターチームの面々も、互いの動向を気にするだけのちっぽけな人間に見えてしまう。
こんなのは鉄也でもリョウでもない(いや、鉄也に関してはあんなもんかな。後の兜甲児に対する態度を見ても)。
…とまあ穿った見方は出来るものの、マジンガー・サイド中心の展開とはいえ、レギュラーキャラクター各人に見せ場を割り振り(ゲッター1だけじゃなく、ゲッター2やゲッター3も活躍する!)、単純に観て格好良い作品になっているのは間違いない。
全盛期の渡辺宙明&菊池俊輔サウンドのノリの良さは尋常じゃないし。
