『マエストロ!』(2015)
2015年 02月 20日
解散した名門オーケストラ再結成の話が持ち上がり、若きコンサートマスター香坂らかつての楽団員に声がかかるが、集まったのは他のオケに移れなかったいわば「負け組」メンバーとアマチュアのフルート奏者だった。一カ月後の復活コンサートへ向けて練習を始めたものの、そこに現れた謎の男が強烈なダメ出しをする。
彼こそが再結成を企てた張本人で、素性や経歴が一切不明の指揮者・天道。ワガママや気まぐれで皆を翻弄し、情け容赦なく罵声を浴びせる天道に楽団員が猛反発。香坂はコンマスとして調整に追われるが、天道の傍若無人さはエスカレートするばかりだった。しかも天道には様々な疑惑が持ち上がり、ギャラがきちんと支払われるのか、そもそもコンサートは行われるのか、楽団員たちの不審は募る一方。また若くして亡くなった、敬愛するヴァイオリニストだった父の死に天道が関与していたことを知った香坂は遂に反抗し、オーケストラの解散を宣言する。
しかし天道の指導の下、オケが着実に力を付けているのも確かだった。また楽団員の中にはコンサートの実現を願う者もいた。そして天道は今日も練習場へ向かう。そこへ一人また一人と増えていくメンバー。
はたしてコンサートは無事に開催されるのか。そして香坂の決断は…?
松坂桃李が悩める若きコンマス、西田敏行が傍若無人な指揮者を演じた、簡単に言えば「落ちこぼれ集団が様々な困難を乗り越え最後に栄光を掴む」というパターンの物語。さそうあきらの『マエストロ』という漫画が原作名のだが未読なので、どの程度沿っているのかは不明。
クライマックスの展開にはかなり捻りが加えられているものの、概ね予定調和で進んでいくので感情移入もしやすく、全体的に観やすい作品だ。プロの目から見てもリアルだと評されている演奏シーンもさることながら、個性的な脇役陣が奏でる群像劇であり、かつ芸達者な脇役陣に伍して踏みとどまった松坂桃李の真摯な演技にも好感が持てる。それに西田敏行はやはり上手い。
香坂の父と天道との関係や天道の妻の件が今一つ得心が行かないのと、ラストシーンをどう捉えていいのか若干戸惑いを覚えはするものの、劇中で大きくフィーチャーされているベートーヴェンの「交響曲第5番≪運命≫」とシューベルトの「交響曲第7番≪未完成≫」の迫力もあり、観終って素直に拍手したくなるような作品だった。
【ひとりごと】
演技初挑戦とは思えないほどmiwaが出色の出来で、何らか映画祭なりで新人賞を与えて欲しいものだ。





