『エクソダス/神と王』(2014)
2015年 02月 24日
「旧約聖書」の『出エジプト記』をリドリー・スコット監督が映像化。モーゼにクリスチャン・ベール、ラムセスにジョエル・エドガートン、セティにジョン・タトゥーロ、ヨシュアにアーロン・ポール、ヘゲップにベン・メンデルソーン、トゥーヤにシガニー・ウィーヴァー、ツィポラにマリア・バルベルテ、ヌンにベン・キングズレー。
荘厳な宗教映画のようなものかと思っていましたが、壮大ではあってもそういう要素は殆どないですね。
押しつけがましさもないというか、モーゼは「神の使い」に終始懐疑的な態度を取っていますし、明確に「神のメッセンジャー」として行動することもありません。また傍から見ると、モーゼは怪我をした後に精神面で異常をきたしたようにも、全てが妄想のようにも受け取れるようになっています。これは現代的な解釈でしょうか。
序盤のヒッタイト人との戦いや、終盤でのヘブライ人とエジプト兵との追いかけっこは戦争映画のようですし、ワニが暴れたり、魚が死んだり、カエルや蛆や虻が大量発生したり、雹が降り、イナゴが襲いという中間部の災害描写はディザスター映画の如し(やや怪獣映画のテイストも入ってますね)。娯楽映画の要素を詰め込んだ堂々たる娯楽大作という雰囲気の仕上がりです。
モーゼが英雄的な人物として描かれていないように、ラムセスも絶対悪の独裁者としては描かれていません。
自分に比べおそらく能力も秀で人望もあるモーゼに対して嫉妬に近い感情はずっと持ち続けていたと思われますが、それが単純に「モーゼ憎し」へとは繋がらず、兄弟同然に育ってきた相手に対し愛情を持ち続け、またどこかでずっと信頼の気持ちを持ち続けていたように描かれています。これがラムセスの甘えであり甘さで、結局は判断を誤らせたと言えなくもありませんが。
また「神の使い」を称する少年が果たして本当に「神の代弁者」だったのか、だとすれば神の意志は奈辺にありしか、エジプト人だけでなくヘブライ人までも苦しめるその「真意」が明確に描かれていないのは不気味でした。「神」の解釈は微妙な問題なだけに、あくまでも観客の判断に委ねることを選択したのでしょう。製作サイドもある程度の道筋は持ち込んでいますが、独自の解釈を持ち込んで映画としてまとめようとはしていません。
ということでこの作品、神の奇跡や神に仕える英雄の物語ではなく、あくまでも人間モーゼの物語として描き切ったというのが独自色ということになるのでしょう。
しかし『出エジプト記』の表面をただなぞっただけという物足りなさもあります。「神話」でも「歴史」でもない中途半端さ。どっちかに思い切って舵を取り、ハッタリを効かせてくれた方が映画としてはより楽しめたでしょうに。
【ひとりごと】
奇跡の力で海を真っ二つ!…ではなく潮の満ち引きを利用して渡るシーンは良いですが、モーゼがヘブライ人を武装蜂起させたり、その報復でラムセスが容赦なくヘブライ人を処刑して……で無力さに打ちのめされるモーゼ。その間「神の使い」とやらは一切手を貸してくれません。
ファラオは頑なになり、でその後が怒涛の災害攻撃のオンパレードと情け容赦ないのはどうなんでしょうね。
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>その間「神の使い」とやらは一切手を貸してくれません。
についてですが、結構そこがリアルですよね。小生意気な男の子の姿を借りて登場するあたりも。
元々モーゼの人物像や十戒諸々などについてはかなりアバウトなイメージしか持ち合わせていなかったので、モーゼの人物像やその波乱な人生をざっくばらんに理解する意味では、割と見応えはあったかなと思ってますね。
あと災いが降りかかるシーンも人知を超越した感じが出てて、ホントディザスタームービーとして観ても問題ない気がしますね。
ラムセスが頑なな理由も、単にモーゼに冷たくされたから切れたのかな、程度に感じてしまいます(^^;
あたしは、リドリーさんの解釈が結構働いてるんじゃないかなあと、感じましたです。
弟の事を思って、神も仏もいないんかい!って心境なのかな。
そもそもエジプト人って誰が造ったんですかね。
他にも神様がいたのか、それとも作り損ないに人たちなんだろうか…?
まあいずれにせよ、微妙なところはさらっと流した印象があります。