『本能寺の変88の謎』 井上慶雪
2015年 06月 08日
相変わらず根強い人気の「本能寺の変」謎解き本の一冊で、この本では信長殺しの真犯人は秀吉。
ただ「秀吉が黒幕だった」というのではなく、全ては秀吉の企みで光秀は冤罪だったというのが結論だ。
初めに「光秀の謀反ありき」というこれまでの前提条件が間違っているというのである。
生来野心家の秀吉は、家格ではなく才能重視の信長を見出して仕官し、着々と力をつけた後に頃合いを見て信長を弑逆し、遂には己が天下を取ったというが筋書で、具体的には毛利と戦っていた秀吉は最終決戦にあたって信長に出馬を要請し、京都に誘い出して別働隊に信長・信忠父子を殺害させ、その罪を光秀に着せた上で自らはその光秀を討って実力者に躍り出た、というワケだ。
専門家ではないので、用いている資料の信用度やその解釈が成立する可能性などは不明だが、このダイナミックな仮説の立て方には思わず頷いてしまう。
最近でも色々な新説が出てくるが、それだけロマンを掻き立てる歴史上の謎に包まれた大事件だということだろう。