人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『さいはての島へ』<ゲド戦記III> ル=グウィン

昨年の暮から少しずつ読み直しをしてきたアーシュラ・K・ル=グウィンの<ゲド戦記>。ちょっと間が空きましたけれど、ようやく第三部まできました。
といっても、僕が以前読んだことがあるのはこの三部まで。その頃は三部作だったのです。
今では本編五部、プラス外伝の計六冊になっています。これからは読み直しではなく、初挑戦となります。

『さいはての島へ』<ゲド戦記III> ル=グウィン_e0033570_054167.jpgさて、来夏に公開される問題の(苦笑)スタジオジブリ製作のアニメーション映画ですが、発表によればそれはこの第三部を中心に描かれるとのこと。
前二作では少年、あるいは青年だったゲドも、ここでは大賢人と呼ばれる老人と化しております。思わせぶりな態度をとりながら、ろくな活躍もしないこともあって、個人的には三部作中では一番面白みを感じないのですが、その素材を前に、これがデビュー作となる宮崎吾朗監督がどう作り上げていくのか、お手並み拝見というところでしょうか。
ジブリでアニメ化するのであれば、第二部の『こわれた腕環』が最適ではないかと思うのですが、かえって思い入れの度合いの低い第三部のアニメ化ということで、映画に対する点数はかなり甘くなるかもしれません(笑)。

それにしてもこのシリーズ、タイトルに”戦記”という言葉が付けられていることによって、多少なりとも損をしているような気がしてならないのですが
読んだ方はお分かりのように、このシリーズはゲドという魔法使いの冒険物語と言って良いと思いますが、戦争物の要素は皆無です。アクション・シーンと呼べるようなものも殆どありませんし、物語の主体は肉体面ではなく、精神面に置かれています。RPGのような戦いの場面を期待して読んだ人には肩透かしでしょうし、逆にそれゆえに敬遠している人にはまことに勿体無い話です。

さてさて、今年もいよいよ大晦日。今年も一年、お世話になりました。
昨年同様、今年も年末年始休暇は今日からの4日間だけです。
あっという間に過ぎてしまうでしょうし、ネット環境が整うのは正月休み明けからですので、このブログもサイト本体も、きちんと整備出来るのは来週末の三連休になってしまうかと思いますが、少しずつ更新だけは続けて行きたいと思います。
来年も宜しくお願い致します。良いお年をお迎えください。
Tracked from がちゃのダンジョン 映画&本 at 2006-01-12 08:22
タイトル : ゲド戦記
『ゲド戦記』(2006)製作国日本 公開情報東宝初公開年月2006/07 ジャンルファンタジー「真の名前」が重要な意味を持ち、太古の言葉が魔法の力を発揮する世界「アースシー」。「アースシー」を舞台に、魔法使いゲドの人生のそれぞれのステージを描く、深い哲学的テーマを...... more
Commented by masaki_rui at 2006-01-04 22:12
こんばんは、TB有り難うございました。タイトルに“戦記”と入っているのは、確かに読んでいて疑問を感じていた部分です。精神的な戦いを現わすのに最適な言葉があると良いのですが…。(駄目だ、思い浮かばないや)
3巻のゲドって、これまでと随分雰囲気変わってますよね〜 口だけ“達者”と言うか…(笑)
Commented by odin2099 at 2006-01-04 22:28
>masaki_rui様

未読なのですが、4巻5巻は必ずしもゲドが主役ではないそうなので、いよいよもって<ゲド戦記>というシリーズ名は相応しくないですねぇ。
既にファンの間では原題通りの<アースシー>シリーズとして定着しつつあるのだとか。
Commented by kanjinkankyo at 2006-01-10 23:51
はじめまして、TBありがとうございます。確かに内容は「戦記」のイメージと随分落差がありますね。自分も多少ともチャンバラがあるかと思ってたクチでした。
私はExcaliburさんとは逆に3巻はけっこう楽しめたので、ジブリ映画の点数は逆に辛くなるかも?
Commented by odin2099 at 2006-01-11 22:19
>閑人閑居様

コメントありがとうございました。
そうですか、3巻がお気に入りなんですね(笑)。
なんだかゲドが”ユパ様”か”アルムおんじ”になりそうなのが、ちょっと怖いんですが(苦笑)。
後はアレンが”アシタカ”みたいになっちゃったりして・・・?

冗談はさておき(というか冗談であって欲しいですが)
竜をどう描いてくれるかがポイントになりそうですね。
ポスターだけでは何とも言えませんけれども。
Commented by がちゃのダンジョン at 2006-01-12 08:24 x
TBありがとうございました。
戦記とはいえ戦争は 関係ないのですね。
第三巻、ゲドは老人ですか! このシリーズも全巻読んでしまいたいです。 でも、こちらも、なかなか古本店で見つけられません。。(笑)
Commented by odin2099 at 2006-01-12 22:19
『ダレンシャン』まで行きませんが、これも決して短くはないシリーズですね(苦笑)。
それに確かに古書店などでは見かけませんねぇ。
ソフトカバーの<物語コレクション>シリーズというのも出てるんですが、実はこちらの方が値段が高い!
ったく岩波書店は商売が下手!
映画公開を機に、少年少女文庫へでも入れてくれると良いのですが・・・。

で、何故か最近『バーティミアス』が揃ってしまいました(笑)。
こちらも映画化が進行しているようですね。
まだ読み始めるのは当分先になりそうですが。
おっと、その前に『ライラの冒険』だ!
Commented by t2mina at 2006-01-13 08:24
宮崎さんなら絵はきれいなんだろうし、印象的な作品に仕上げてくれるだろう、とは思います。でも、やっぱりロード・オブ・ザ・リングに匹敵するくらいと思っているので、気持ちは複雑。しかし、3部だけ、という所が、まあ、ゲドへの導入になって、読む子が増える方に行ってくれれば嬉しいです。さすがに4巻は映像には厳しいだろうし。個人的には1巻のインパクトは何にも変えられない。でも、5巻『アースシーの風』を読むと、世代が繋がっていく、壮大さが味わえてこれもよかった~。
Commented at 2006-01-13 08:26
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by odin2099 at 2006-01-13 22:31
>minaさん

まだ読んでないのですが、4巻5巻は映像には不向きですか。
何となく古くからのファンには評判悪いみたいですねぇ(苦笑)。

しかしイキナリ3巻のストーリー見せられて、初心者は興味持つのかなぁ。
やっぱり最初は1巻か2巻の方が取っ付き易いように思えますが・・・。
Commented by がちゃのダンジョン at 2006-01-13 23:56 x
バーティミアスも映画化ですか!
そちらはどんなお話でしょう?
「プトレマイオスの門」とか、副題がなんとなく、古代ギリシャちっくですね?
Commented by odin2099 at 2006-01-14 09:30
>がちゃのダンジョン様

『バーティミアス』、映画化!ということで飛びついたんですが(苦笑)、
まだまだ手がつけられません。
他にも『アルテミス・ファウル』とか、『マーリン』、『ライオン・ボーイ』等々、
映画化が予定されている作品は多々ありますね。
どれも読んでみたいんですけれど。
by odin2099 | 2005-12-31 15:07 | | Trackback(1) | Comments(11)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur