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『さよなら銀河鉄道999』

『さよなら銀河鉄道999』_e0033570_22085747.jpg8月も後半になると「夏休みも終わり」というムードになりますね。
てなワケで「夏休み締めくくり」ムードな一本をチョイス。
『銀河鉄道999完結編』でございます(当時)。


ぶっちゃけこの作品、期待が大きすぎた分ガッカリ度合いも強くて好きになれないんですが、ドラマ作りとか演出テクニックとか、そういう面から見るとりんたろう監督の最高傑作なのかも知れません。
一生懸命映画っぽく作ろうとしてますし、小松原一男作監のメーテルは実に色っぽいし、椋尾篁の落ち着いたトーンの背景美術など全体のムードはハリウッド映画というよりもヨーロッパ映画っぽいところがあります。


その一方で、動きのダイナミズムは認めるものの金田伊功作画のキャラの崩れ方は許せませんし、東海林修の音楽はジョン・ウィリアムズ(ずばり『スター・ウォーズ』『スーパーマン』)を彷彿とさせ過ぎる純然たるハリウッドテイストですし、なんだか非常にアンバランス。
それに土台となるシナリオというかプロットに欠陥があるので、どれだけ表面を取り繕ってもなんだか虚しい出来になってしまってます。


キャラクターが思わせぶりな台詞を吐いてそのまんま、伏線も回収せずにほったらかし、は松本漫画によくある悪い癖ですが、どうやらこの映画にもその悪癖が侵蝕してきているように感じます。


黒騎士ファウストは鉄郎をわざわざ呼び寄せ、トラウマになっている母の死の場面をもう一度見せ、更には自らその前に立ちはだかって何をしたかったんですか? 
我が子の成長を見守る・見届けるというのとはちょっと違うと思いますが。


またメーテルも、自分が鉄郎を呼んだんじゃないことを早めに説明しておけば、もっと犠牲者が少なくて済んだ気もします。
それにラーメタルの古城にあったメーテルにそっくりな少女の肖像画。
メーテルの姿は鉄郎の母親の若い頃をコピーした筈なんですが、一体いつからその姿をしてるのかしらん?


メーテルを信じ、ファウストを信じ、結局は裏切られるプロメシュームはお人好し過ぎますね。
多くの人に裏切られ故郷ラーメタルを追われ、一代で機械化帝国を築き上げたんじゃなかったでしたっけ?


他にも言いたいことは沢山あって、例えばミャウダーのオルゴールは色々な意味で危険すぎるとか、999がサイレンの魔女に引っ張られるのはメタルメナのせいじゃなくてファウストのせいじゃないの?とか、挙げだすとキリがないですね。


それでもラストはしんみり。
当時は、来年には『1000年女王』と『アルカディア』がある、再来年は『ファイナルヤマト』と『エメラルダス』がある、とワクワクしてましたけど、今観ると『999完結編』としての重みがありますねぇ。
まあその後であんな形で続編がスタートしようとは夢にも思いませんでしたが。


【ひとりごと】
原作漫画版のメタルメナってどうなったの?

『さよなら銀河鉄道999』_e0033570_22561013.png
<過去記事>
http://odin2099.exblog.jp/3884525
by odin2099 | 2015-08-22 22:13 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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