『渡辺宙明卆寿記念コンサート』
2015年 09月 05日
渡辺宙明先生が今夏卒寿を迎えられました。それを記念してのコンサートが去る8月30日、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて昼夜二公演行われ、その両方を聴きに行ってきました。
演奏するのは「伊福部昭百年紀」で聴衆を熱狂させたオーケストラ・トリプティークの皆さん、今回も興奮させてくれました。
二部構成になっていて、前半が「マジンガーZ」組曲、「グレートマジンガー組曲」、「大鉄人17」組曲、「太陽戦隊サンバルカン」組曲、後半が「スパイダーマン」組曲に「宇宙刑事ギャバン」組曲という構成でした。
監修・作曲:渡辺宙明、構成・編集:堀井友徳、指揮:松井慶太、司会は昼の部が小林淳、夜の部が西耕一、トークゲストはご子息・渡辺俊幸、という顔ぶれです。
コンサートは「マジンガーZ」の主題歌でスタート。オリジナルの演奏はここまで編成厚くないと思いますが、のっけからド迫力です。続けて「機械獣の進撃(II-2)」「Zの危機(C-4)」「マジンガーZ対機械獣(C-5)」そして「Zのテーマ」へと続きます。
更に「俺はグレートマジンガー」「戦闘(I-2)」「鉄也のテーマ」「グレート・ピンチ(M-6)」「戦闘2(M-1)」と一気呵成に畳みかけ、ボルテージは最高潮! 以前発売されていたCD『渡辺宙明グレイテスト・ヒッツI』に収録されていた「組曲マジンガー」のダイジェストといった趣きですが、編成は厚くなったもののアレンジ自体はオリジナルスコアに近づいた感じで、ここまでで十分に満足。
ただし欲を言えばダイジェストではなく完全版、特に『Z』のパートは全曲演奏して欲しかったところです。例え他の作品のブロックを削ってでも。
「マジンガー」に続くのは「大鉄人17」ですが、ここでステージからどっと人がいなくなりビックリ。「マジンガー」は50名ぐらいで演奏していましたが「17」は10数名。しかしこの少人数(しかも弦楽器抜き)でこの音の厚み!これには驚きです。やはり生で聴かなきゃ(見なきゃ)わからないことってあるんですね。
「17」は後半というか殆ど終盤しか観ていなかったので、実は劇伴音楽にはあまり馴染みはない筈なのですが、「宇宙刑事」はじめ多くの作品で流用されていることもあって、実際には良く知ったメロディの連発ということになります。
次の「サンバルカン」ではストリングス・セクションはじめ多くのメンバーが舞台に戻ってきましたが、「17」以上に本数を観ておらず、その数話でさえ既成曲の流用が目立っていたので、こちらは馴染みの薄い曲が続きますが、そこはやはり宙明サウンド、宙明節全開なのでノレます。
休憩挟んで後半最初の「スパイダーマン」も数本しか観ていませんが、サントラ盤『エキセントリックサウンド・オブ・スパイダーマン』はLPとCDを聴きこんできていますので、こちらは全く問題なし。
今回の演奏はそちらからの抜粋になっていましたが、「スパイダーマン」といえばやっぱり多彩なパーカッションの妙味。オーケストラ・トリプティークは「伊福部昭百年紀」のコンサートでも圧倒されましたがパーカッションが凄すぎで、今回もその力量は如何なく発揮されています。
そして一方でレオパルドンのテーマとして使われているメロディアスでシンフォニックなメロディは、思わず鳥肌が立つほどでした。
最後はこのコンサートの白眉!演奏時間も一番長いであろう「ギャバン」の組曲の登場です。これまた『渡辺宙明グレイテストヒッツ』の「組曲ギャバン」に準じた構成で、まず「マクー城(B-4)」が序曲として流れるだけで作品世界に浸れます。
「戦う電子星獣ドル」から「サイバリアン発進」のメドレー、そしてクライマックスは「襲撃2」即ち「レーザーブレードのテーマ」!最後は思わず「ギャバン・ダイナミック!」と叫びました(頭の中で)。
アレンジは近年の『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン』や、『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』っぽさも多少感じられました。
MCは昼の部では「グレート」と「17」の間で一回、「スパイダーマン」と「ギャバン」の間で一回、夜の部では「Z」と「グレート」の間で一回、そして「スパイダーマン」と「ギャバン」の間で一回のそれぞれ二回ずつ。
その二回目はご子息の俊幸先生を招いてのトークコーナーで、これはサプライズだったんでしょうかね。俊幸先生がイントロに「マジンガーZ」のメロディをフューチャーして編曲した「ハッピー・バースデー」を皆で大合唱しました。
また夜の部では「サンバルカン」の演奏が始まろうとした瞬間にステージ暗転!悪の軍団が宙明先生を狙って襲ってくるというヒーローショーもどきの寸劇が! ここに登場するのが芸術家アイドルユニット「ナマコプリ」で、宙明先生の新曲「ミラクル戦隊ナマコプリ」を初披露、というコーナーもありました。
この「ナマコプリ」、ナマコラブとマコ・プリンシバルの二人からなるユニットなんだそうですが、このうちマコ・プリンシパルは俊幸先生の長女、つまり宙明先生のお孫さんというワケで、親子孫三代勢揃いのファミリーコンサート、なのでした。
アンコールは、これは予想通りの「レーザーブレード」三連発!
『グレイテツト・ヒッツ』のボーナストラックにも入ってますが、「ギャバン」「シャリバン」「シャイダー」3作品で使われた「レーザーブレードのテーマ」をメドレーで演奏したもの。これは燃えます!
そして「本編演奏中には歌わないでください」という謎の?注釈つきの歌詞カードが入っていたのですが、最後の最後に宙明先生の指揮で大合唱というコーナーが。
昼の部は「グレートマジンガー」と「マジンガーZ」、夜の部は「駆けろ!スパイダーマン」と「太陽戦隊サンバルカン」!
いやー、気持ちいいですねぇ。自分もそうですが、歌詞カードなんかなくたって歌える!という同志をあちらこちらで見かけまして、実に頼もしい限りです。
会場で配られた豪華なパンフレット、昼の部では公演開始前に搬入が間に合わずに公演終了後に配布、などというアクシデントもありましたが、これによると来年VOL.2とVOL.3の開催が決定とのこと。
今回「人造人間キカイダー」を温存したのは絶対に2回目を考えてのことだろうと踏んでいたのですが、まさか3回開催とは…?! 嬉しい誤算です。
3/5開催のVOL.2はオーケストラ・トリプティークではなく「渡辺宙明卒寿記念ブラスオーケストラ」を結成し、「キカイダー組曲」「イナズマン組曲」など70年代中心の小編成のものを取り上げる予定で、5/15のVOL.3では再びオーケストラ・トリプティークが、今度はパイプオルガン付で「宇宙刑事シャリバン組曲」や「機動刑事ジバン」組曲も演奏するのだそうで。
個人的には是非とも「鋼鉄ジーグ」と「マグネロボ ガ・キーン」、それに「野球狂の詩」はやって欲しいのですが、願いは叶うでしょうか。
そういえば最後に宙明先生が、来年は映像作品をやるかも?みたいなことを仰ってましたが……「宇宙刑事」の新作でもあるのかしらん?
自分の演奏時以外は、ノリノリでリズムを取ってる美人のヴァイオリンのお姉さんがいたので気になっていたのですが……あれ?元「12人のヴァイオリニスト」メンバーだった大河内涼子さんじゃありませんか。
どっかで見たことあるなあと思っていましたが。
それと、「ナマコプリ!」と叫んだフルートのお姉さんも可愛かったです。