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『大盗賊』(1963)

こちら東京では、約一ヶ月ぶりの雨
箱根を走るランナーたちも、冷たい雨に打たれて可哀相だったなぁ。
しかし”戦国駅伝”とはよく言ったもので、これだけ順位がめまぐるしく変るレースも珍しい。
おかげで最後まで目が離せなかった。
明日の復路も楽しみである。

さて、本年一本目の映画は――

境の豪商・呂宋助左衛門は、豊臣秀吉の勘気に触れて処刑されることになるが、密かに逃れて配下の者たちを集め、大海原に乗り出した。
途中黒海賊に襲われ南の国へと流れ着いた彼は、そこで王位を狙う企みに巻き込まれてしまう。

三船敏郎が呂宋助左衛門に扮して大暴れする冒険活劇で、脚本が木村武と関沢新一、音楽が佐藤勝、監督は谷口千吉で特技監督が円谷英二
1963年の作品である。

『大盗賊』(1963)_e0033570_2318898.jpg一応は時代劇ということになるのだろうが、アラビアンナイトを髣髴とさせるような異国が舞台であり、時代劇の制約から逃れた純然たるファンタジー物となっていて、欧米では”シンドバッド映画”として公開されたらしい。
かなり大掛かりなセットを組んだりしていて、つくづく東宝の、というよりも日本映画の黄金期の底力を思い知らされる内容だ。

主役の三船敏郎以外にも、ヒロインの弥々姫に浜美枝、助左衛門に手を貸す気風の良い女山賊・水野久美、姫付きの奴隷娘に若林映子、王位を狙う宰相の中丸忠雄、宰相と組んで海を荒らす黒海賊・佐藤允、宰相の愛人である女官長・草笛光子らを揃えた配役も見事で、中でも水野久美と若林映子は違ったタイプの色気を発散していて、本当にこれはオトナのためのおとぎ話だなぁと思う。

ただ出色なのは助左衛門の助っ人となる仙人役の有島一郎と、宰相の懐刀である妖婆を演じた天本英世の二人で、”女に弱い”という設定の仙人はコメディ・リリーフというか作品のアクセントになっているし、天本英世の怪演はファンならずとも一見の価値ありだ。
予告編で強調されているほどこの二人の対決色が強くないのがやや残念だが、好評だったのか後に作られた『奇巌城の冒険』にも殆ど同じ役でコンビで登場している(作品的には何の関係もない)。

by odin2099 | 2006-01-02 21:05 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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