『管弦楽と室内楽による組曲 アルプスの少女ハイジ』
2015年 09月 27日
『アルプスの少女ハイジ』の音楽は渡辺岳夫の作曲ですが、この組曲版の編曲はなんと冬木透!
ということで1982年の発売当時から気にはなっていたんですが、結局そのままになってしまっていました。
それが今年に入ってその前年に発売された『女声合唱によるアニメファンタジー アルプスの少女ハイジ』(こちらも編曲は冬木透)をボーナストラックにして復刻CD化されました。
内容を見ると全5章で構成されていて、第1楽章が「交響詩 アルプスとハイジ≪管弦楽≫」、第2章が「都会のディベルティスマン≪室内楽≫」、第3章「傷心のパルティータ≪室内楽≫」、第4章「歓びのトリオ≪管弦楽・室内楽・トリオ≫」、そして第5章が「交響詩 ハイジ≪管弦楽≫」となっていて、ライナーノーツを読むと子供たちのクラシック入門編のようなアルバムを目指していたようで、それで色々なタイプの楽曲の詰め合わせになっているようです。
演奏は熊谷弘・指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団、それにクレジットをよく見ると冬木透の肩書は「編曲」だけでなく「作曲」と「構成」も。つまり渡辺岳夫の音楽をアレンジするだけでなく、全体の構成を整え自らも新曲を書き下ろしているというわけです。
クラシック界では原曲を書いた人ではなくまとめ上げた人を「作曲者」とするというお約束だそうなので、そうなるとこの組曲全体の作曲者は冬木透ということになりますね(宮川泰の楽曲をふんだんに用いながら『交響曲 宇宙戦艦ヤマト』の作曲者が羽田健太郎とされているのも同じ理屈でしょう)。
それはさておきこのアルバム、渡辺岳夫・冬木透両氏のファンのみならず、クラシック好きにも大変興味深いものになっていると思いますが、お馴染みの主題歌のメロディーなどが使われてはいるものの、こと『アルプスの少女ハイジ』というアニメーション作品の音楽アルバムとして聴くと少々微妙に感じられます。
独立した作品としての完成度は高まっていても、ファンとしては主題歌、挿入歌、劇伴音楽をそのままオーケストラ・アレンジして貰った方が親しみやすいという贅沢な願いかもしれませんが。