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『リトルプリンス/星の王子さまと私』(2015)

サン=テグジュベリ・エステートが初めて認可した『星の王子さま』の続編映画。
原題と違って邦題には「と私」と付いているが、この「私」とは誰のことなんでしょう?

『リトルプリンス/星の王子さまと私』(2015)_e0033570_20270129.jpgキャリアウーマンの母親と一緒に越してきた9歳の女の子は、母が立てた人生設計プラン通りに頑張ろうと毎日猛勉強中。ところがその隣家には風変りな老人が一人で住んでいた。ある日のこと、飛んできた紙飛行機を何気なく手に取ってみると、そこには元飛行士だった老人が砂漠で出会った小さな王子のことを、挿絵を添えて綴ってあった。
続きが気になった女の子は隣の家を訪ね、元飛行士が語る王子の話にすっかり夢中になってしまう。それからは母に内緒でお隣を頻繁に訪れるようになる。
ところがそのことが母親にばれ、隣家への出入りを一切禁じられてしまう。それでも母親の目を盗んで老人宅へ忍び込むのだが、王子の最後の物語にショックを受けてしまい、再び母親の敷いたレールの上を歩む生活に戻ってしまう。
そんな時、元飛行士が病に倒れる。助けられるのは王子しかいない。女の子は修理が済んだ飛行機を駆って、王子を探す旅に出る。

試写会などの評判が良いので期待して観に行きました。
アニメーションの技術は素晴らしく、音楽も美しい。
心に残る名セリフも随所に散りばめられ、感動した、涙した、との声にも偽りがないこともわかりました。

『リトルプリンス/星の王子さまと私』(2015)_e0033570_20271153.jpgでも、最初に予告編を観た時に感じた違和感、それを最後まで払拭することは出来ませんでした。
というより、予想以上に酷かった、というべきかもしれません。

最初は「星の王子さま」をアニメーション映画にする、ということで興味を持ちました。
既にミュージカル仕立ての著名な実写映画があり、日本でテレビアニメ化もされています。
今度はどんなアプローチをするのだろう?という期待が高まったのです。

ところが「星の王子さま」の映画化ではなく、その「続編」を作るというのです。
いや~な予感がしました。
結局のところ、その予感は的中しました。

「星の王子さま」は70年以上前に書かれたお話です。
いつの時代かは明確にされていませんが、作者である語り部(=飛行士)が回想する形式で進められるお話ですから、概ね同時代だと考えて良いかと思います。
書かれた時から十数年か、数十年前なのかはわかりませんが。

その「続編」を、「現代」を舞台に描こうというのです。
ファンタジーが成立しにくいこの「現代」で。

それでも「正編」部分と「続編」部分を明確に区分けして描いて、やがて両方の世界が混然一体と融合していって――というのならわかりますが、実際にはリアルな存在として元飛行士を現代世界に登場させ、あまつさえ王子さままでも……。

『リトルプリンス/星の王子さまと私』(2015)_e0033570_20272298.jpg王子が星へ帰って行ったのか、それとも死んでしまったのか、それは読み手の想像に委ねる形で原作は幕を閉じています。
それをどう受け取るかによって、この物語はハッピーエンドにも、物悲しいラストにもなるのですが、この続編はどちらもぶち壊してしまっています。

それに女の子が操る飛行機。これを持ち出すことでいよいよ物語はファンタジー世界と融合するのか、と期待させてくれたのですが、映画にはその後のフォローがありません。
それでなければ「夢オチ」にするのかなとも考えたのですが、何の説明もなくそのまま現実世界へと戻ってきて、昨日に繋がる「今日」が始まって行くのです。

これにはガッカリを通り越して呆れてしまいました…。

評判を呼んでこの作品はヒットするかも知れません。
より多くの「感動した」「泣いた」の声が増えるかもしれません。

でも自分にとっては
こんな続編は見たくなかった
「こんな王子さまの姿は見たくなかった」
――これに尽きます。

最後に日本語吹替版について。
女の子役の鈴木梨央、王子さま役の池田優斗、この2人の演技は凄く自然で大変素晴らしいものでした。
また周りを固めるベテラン陣(一部若手キャストも含みます)も、この2人を盛り立てています。
しかしそれ以外のメインキャストの方々は、残念ながら作品の完成度を高めるために貢献している、とはとても言い難い状況です。
日本語吹替版限定の主題歌、然り。
仮にそれが歌曲として優れた出来だったとしても、既に完成しているものに付け加える、もしくは改竄に値するとはとても思えません。
Tracked from あーうぃ だにぇっと at 2015-11-29 21:42
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リトルプリンス 星の王子さまと私@スペースFS汐留... more
Tracked from 映画1ヵ月フリーパスポー.. at 2015-11-29 22:58
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Tracked from パピとママ映画のblog at 2015-11-30 16:29
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Tracked from みはいる・BのB at 2015-11-30 21:27
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Tracked from ディレクターの目線blo.. at 2015-12-01 20:09
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Tracked from ノラネコの呑んで観るシネマ at 2015-12-03 22:39
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Tracked from カノンな日々 at 2015-12-18 12:10
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by odin2099 | 2015-11-23 20:32 |  映画感想<ラ行> | Trackback(8) | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
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