【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『ロッキー3』(1982)

e0033570_23000226.jpgアポロに勝って新チャンピオンとなったロッキーは、度重なる防衛戦を制し栄光を手に入れていた。
そんな中で現役引退を宣言するが、新進気鋭のボクサーであるクラバーの挑発に乗り、渋るミッキーを説得して現役最後の試合に臨むことになる。だが試合の直前にミッキーが倒れ、そのアドバイスを受けられないまま屈辱のKO負けを喰らい、ミッキーもロッキーの目の前で息を引き取った。
失意のどん底のロッキーの前に現れたのは、かつての宿敵アポロだった。
失ったハングリー精神を取り戻せばお前はまだやれる。そのアポロの説得に再び挑戦する決意を固めたロッキーの必死のトレーニングが始まる。

恩師ミッキーの死と宿敵アポロとの友情を描いた三部作の完結編。
――当初の予定通りここで終わっていたら、「ロッキー」シリーズはもっと評価されていたかもしれない。

ロッキーの再起もそう簡単にはいかず、苦悩と逡巡が描かれ、それはアポロをもってしてもおいそれとは越えられない壁だった。
その壁を越えさせたのは最愛の妻エイドリアン。
前2作でのエイドリアンはロッキーの守るべきものの象徴であり、戦うためのモチベーションであったが、今回のロッキーは初めてロッキーと対等の口をきき、叱咤激励するというこれまでよりも大きな存在として描かれている。
このあたり、脚本・監督のスタローンの上手さだと思うが、なかなか評価されにくい人でもあるのが残念だ。

e0033570_23001011.jpgただその一方で、ロッキーのスーパーマン化が進んでいるのがご都合主義的というか、リアリティを削いでいるのも事実。
前2作で身体はボロボロ、特に視力に関しては致命的だった筈のロッキーが、意図的に格下相手のマッチメイクだったとはいえ防衛戦で次々圧勝していくのは不自然だし、これは純然たるファンサービスだろうとは思うが、ハルク・ホーガンとの異種格闘戦――チャリティマッチの件は些かやりすぎに思える。
それでも2回行われた対クラバー戦の試合運びには工夫の跡が見られるので、カタルシスは十分に得られ心地よい高揚感を抱いて観終ることが出来る。

そしてラストシーン。
観客もいない二人だけのロッキーとアポロのリターンマッチ。
クライマックスではスケールの大きなファイトシーンを持ってきて、最後に凄くパーソナルなシーンで締める。
この緩急の付け方は見事だ。

【ひとこと】
前2作とは顔付も筋肉の付き方もまるで違うスタローンに大スターのオーラが感じられる。ハングリー精神を失ったロッキーの設定には自戒の意味も込められてるのか。


by odin2099 | 2015-12-03 23:04 |  映画感想<ラ行> | Trackback | Comments(0)
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