WOWOWでやっていた<吹替補完版>に興味があって観始めたのだが、あれ?観たことのないシーンが幾つかある!
<劇場公開版>をノーカットで放映、と謳っていたのだけれども、ランニングタイムからしてこれはどうやら<DC版>。
うーん、騙されたような得したような妙な気分である。
<劇場版>より8分長いということで、ジョー・エルが真意を語るシーンや、ルーサーのアジトをスーパーマンが訪れるシーンなど色々と膨らませている。
といっても今DVDやBlu-rayで観られる<劇場版>も、実は最初に劇場公開されたものより10分近く長いようで、こうなると真のオリジナルが何なのかさっぱりわからじ。
『スター・ウォーズ』のようにヴァージョン違いが研究されているわけでもないし。
また<DC版>より更に長いアメリカ本国でのTV放映版というのもあったはずで、奥が深すぎる。
ちなみにこの<吹替補完版>、最初に「日曜洋画劇場」で放送された時は本編ノーカットだったそうだが、今残っている音源は再放送時の短縮版のみ。
そこで可能な限り当時のオリジナルキャストを集めて、失われた部分と<DC版>での追加部分のアフレコを行ったものだそうだ。
本来ならDVDなりBlu-rayなりのソフト製作時に行うべきことと思うが、どのような形であれ実現してくれたことには感謝したい。
今見直すとセットは意外に安っぽいし、VFXも稚拙。
製作費の大半をマーロン・ブランドとジーン・ハックマンに持って行かれたのか?
ただ安っぽくてもクリスタルを主体にしたクリプトンのデザインは気に入っている。
それに何よりもクリストファー・リーヴのクラーク・ケント=スーパーマンが素晴らしい。
ささきいさおの声はリーヴに合っているとは思わないが、観ているうちに違和感は薄れてくる。
30年を経ての追加録音部分も殆ど遜色がないのも素晴らしい。
ミスキャストとの声も聞かれるロイス・レイン役のマーゴット・キダーも、この作品ではなかなかチャーミング。
中原理恵の吹替も案外悪くない。
ただ吹替の追加収録も善し悪しで、大平透も小原乃梨子も追加部分では衰えがハッキリしてしまって哀しくなる。
故・小池朝雄の追加部分は菅生隆之が代役を務めているが、無理して軽く演じているようで違和感がありすぎ。
せめて石田太郎が存命であったなら…。
若きクラーク・ケントが啓示を受け北へと旅立つシーン、養母マーサとの別れを見守るのは雄大な農場での朝日。
そういえば『スター・ウォーズ』で、ルーク・スカイウォーカーが自分の過去と決別する場面では砂漠に沈む夕日が象徴的に使われていたっけ。
どちらも序盤は主人公による自分探しがメインになるなど、両作品にはジョン・ウィリアムズの音楽以外にも共通する部分もあるような。
【ひとこと】
ラストの逆回転だけは納得がいかない。
【ひとりごと】
養父ジョナサン・ケントの死因はクラーク?
無理に走らせたから心臓発作を起こしたのでは?
それと北極の秘密基地は誰がいつどうやって作ったのか、最低限のエクスキューズは欲しい。