『ロッキー5/最後のドラマ』(1990)
2015年 12月 23日

フィラデルフィアに戻りミッキーの残したジムで一から出直しを始めたロッキーの元に、新進気鋭のボクサーであるトミー・ガンが自ら売り込みにやってくる。トミーはロッキーとの二人三脚で快進撃を続けるが、やがて自分がロッキーのコピー、ロボットと呼ばれることに我慢が出来なくなる。一方で息子のロッキーJr.は、父の関心が自分ではなく全てトミーに向けられていることに不満を抱いていた。
トミーとロッキーの溝を感じ取ったデュークは強引にトミーを引き抜くが、このことでロッキー父子はようやくお互いに向き合うことが出来た。
タイトルマッチに見事勝利し新チャンピオンとなったトミーだったが、観客はロッキーを見捨てたトミーに強烈なブーイングを浴びせるのだった。そこでトミーとデュークはロッキーを挑発、師弟対決を求めるのだが…。
テレビで過去の作品を見たことはあったけれど、劇場で「ロッキー」を見たのはこれが初めて。
でも上映前に『ロッキー・スペシャル/炎の青春』という20分くらいの総集編が付いていたので、すんなりと作品に入り込めたのは有難かった。
多分日本独自の編集モノだったと思うが、クライマックスシーンのオンパレードで大興奮の一篇だったので、もし映像が残っていたらDVDなどの特典で付けて欲しいものだ。

トミーとロッキーJR.は疑似兄弟関係になり、共に父ロッキーを取り合うという図式は面白いし、無一文になったロッキーが昔の帽子やジャケットを取り出して着るシーンなど小道具の使い方も上手い。
それにバージェス・メレディスを呼んできて、回想シーンに出てくるミッキーのシーンを撮り足すなど、細部への拘りも、シリーズ作品の惰性や「やっつけ感」がなくて好感が持てる。
そして何といっても音楽にビル・コンティが復帰したことで全体的に3割増し4割増しになっているのも確かだろう。
世代交代を図ってシリーズの延命を図ることもなく(例えばトミーやロッキーJr.に主役をバトンタッチするとか)、また最後にロッキーをリングに上がらせなかったのは英断だとは思うが、一人の英雄譚の締めくくりがストリートファイトだったというのはちょっと引っかかる。
ただ親子二人でシリーズの象徴的な建物であるフィラデルフィア美術館の階段を駆け上るラストシーンと、これまでのシリーズの場面を散りばめたエンドロールはなかなか良いと思う。
これで完結ということから邦題には「最後のドラマ」という副題が付けられていたが、興行的に振るわず作品内容もあまり評価されなかったことから次回作が実現することに。
【ひとりごと】
トミーを演じたトミー・モリソンは、ジョン・ウェインの甥だとかという触れ込みの現役ボクサー、ロッキーJr.を演じたセイジ・スタローンはシルベスター・スタローンの実の息子だが、二人とも近年相次いで若くして亡くなっているんだよなあ…。
【ひとこと】
「オレは厄介者の居候かよ!」
その通りだよ、ポーリー。あんたが全て悪いよ。