『ウルトラ怪獣DVDコレクション3 エレキング』
2016年 02月 19日
この作品が『セブン』の製作第1話なので、『ウルトラマン』の経験があるとはいうものの、まだお約束事(例えばモロボシ・ダンからウルトラセブンへの変身パターン)が確立せずに手探り状態。
それでもウルトラ警備隊基地内部の見せ方(ダンとフルハシが廊下を歩くと次々と扉が開き、基地内を広く見せている)やウルトラホークの発進プロセス、エレキングの巨大感など唸らされる描写も多々あり、円谷プロの力量が十分に窺える。
カプセル怪獣のミクラスを登場させ、単純にセブン対怪獣にせずアクション描写にワンクッション入れたのも斬新な発想だと思う。
しかし「地球の男性は可愛い女の子に弱い」と嘯くピット星人の美意識は疑う。
続いて『ウルトラマンタロウ』第28話「怪獣エレキング 満月に吼える!」。
怪獣の角で、お祖父ちゃんの入れ歯を作ろうとする悪ガキ三兄弟の行動が、あまりにもバカバカしすぎる。
おまけに周囲に迷惑をかけても反省の色なし(ラストでは流石に堪えたという描写もあるが)で、こういうガキの行動を「是」としてしまう物語の展開というのはどうなのかなあ。
しかもこの頃のヒーロー物にはこの手のパターンは珍しくもないのだが、子ども心にも納得しかねるんだけれどね。作り手と受け手の乖離?
そして出てくる怪獣がエレキングである必然性ゼロ。元々エレキングが出てくるのを想定して書かれたシナリオじゃなく、途中で怪獣をエレキングに差し替えた、というようなことを聞いたことがあるけれど、然もありなん。
「月光怪獣」ってなんじゃい? エレキングのクセに電気技は一切なし?
おまけに造形技術の稚拙さも相まって、エレキングの格好をしたニセモノに見えてしまう。
『セブン』の第3話もお話としてはそれほど面白いワケでもないけれど、こうして続けて見ると『タロウ』って本当につまらないよなあ。
一応リアルタイム世代だけど、満足して見ていたという記憶も殆どないや。
「タロウ」28話に登場するエレキングは、セブンに倒されたのが月の光を吸収し続けて体質が変化して復活したとの事ですが、そのすっとぼけたキャラクターが多くの人に受けが良くないというか、そっちの方にばかり目が行ってしまうようで(汗)。
でもこの再生エレキング、初期の頃に比べると身体能力がかなりパワーアップしてますよ。ジャンプで家屋を踏み潰したり、タロウに投げられても地面を転がって素早く受け身を取るし。新技の火炎放射でタロウを追い込んだり、なかなかカッコ良いです。
エレキングは侵略者・ピット星人の手先として破壊活動を行う怪獣ですが、私は昔から憎めないというか、そんなに悪い子には見ていませんでした。何と言っても、彼はご主人の為に体を張って健気に戦っているだけですからね。
終始歯を食いしばったような口元に「(ご主人の為に)負けてたまるか!!」というような闘志を感じて、なかなかカッコ良いです。怪獣ながら「男」を感じさせられます(ピットさん達が女性的なので)。ご主人の命令に張り切ってガッツポーズするお茶目さもあり、この辺に「タロウ」で復活した際のお茶目さの片鱗が見られていたような気がします(釣り針に引っ掛かるドジっ子)。
でも、せっかく復活しても、すでにご主人は2人共お亡くなりになっているし。その事を知らないから、ご主人達を喜ばせるべく地球攻撃を再開したのでしょう。タロウをセブンだと思ってリベンジを果たすつもりで戦っていたかも。思えば可哀そうな子ですね。
やんちゃな性格から察して、体は大きいけどまだ子供・・・・・・というか、大人になり切っていない個体だと思うので倒されるのは可哀そうですが(シャボン玉の命)、どうか月でご主人達の霊と共に静かに眠りについて欲しいです。
コメント、ありがとうございます。
この二つのエピソードをバラバラに見てしまうと違和感しかないのですが、映画「ウルトラマン物語」では(こじつけ気味ではありますが)上手く組み合わせてありました。
平成「セブン」のSPをはじめとして、その後も頻繁に出てくる人気怪獣ですね。
ピット星人に使われる身から、単独での登場も増えてきました。