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『Mr.ホームズ/名探偵最後の事件』(2015)

イアン・マッケランが年老いた名探偵に扮したシャーロック・ホームズ譚で、原作はミッチ・カリンの『ミスター・ホームズ/名探偵最後の事件』

『Mr.ホームズ/名探偵最後の事件』(2015)_e0033570_18533103.jpg93歳になったホームズは海を臨む田舎町で、家政婦のマンロー夫人とその息子ロジャーと共にひっそりと暮らしている。
しかし彼の想いは30年前、探偵家業から足を洗う切っ掛けとなった未解決事件へと向けられていた。
ある男が持ち込んだ調査依頼、それは二度に亘る流産の結果、奇怪な行動を取るようになってしまった妻のこと。
ホームズは見事にその謎を解いてみせた筈だったのだが、事態は思いがけない方向へと進み、彼は取り返しのつかない失敗を犯したと悟る。
ワトソンはそんな彼を慮り、形を変えて事件を発表したのだが、ホームズは死ぬ前にどうしても真相を書き残さなければならないという焦燥感に突き動かされる。
聡明で、また自分を慕うロジャーをあたかも新たな助手とするかのように、ホームズは事件を振り返ろうとするのだが…。

親友ワトソンもハドソン夫人も既に亡く(過去のシーンで兄マイクロフトが出てくるが、後に死去したことが語られる)、老い――特に記憶障害と戦うシャーロック・ホームズの姿が、美しくはあってもどこか殺風景な田舎街の中で言いようのない寂蒔感を掻き立てる一篇。
未解決事件の謎解きに挑む姿よりも、誰よりも明晰な頭脳の持ち主だったシャーロックが、その知力の衰えと対峙し、如何に過去の記憶を呼び起こすのかというサスペンスの方が遥かに興味深い作品だった。

ワトソンとは別れたもののまだ颯爽たる姿を見せる過去(60代)のシャーロックと、年老いた今のシャーロック、イアン・マッケランのその演じ分けも見事で、大切なことを忘れてしまわないように身近なところに書き残したり、それでも思い出せない事柄について困惑する表情には身につまされる思い。
終盤が急転直下で、しかもラストシーンが甘すぎる気がすることを除けば極上の小品を味わった気分である。
だが、シャーロック・ホームズの映画を見た、という気持ちには到底なれなかった。
by odin2099 | 2016-03-22 19:32 |  映画感想<マ行> | Trackback(10) | Comments(0)

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