『サイボーグ009/怪獣戦争』(1967)
2006年 01月 11日
原作の「地下帝国ヨミ編」をベースに、「ミュートス・サイボーグ編」などからキャラクターやシチュエーションを拝借したオリジナル・ストーリーで、ブラックゴーストを倒し平和を取り戻したと思っていたサイボーグ戦士たちが、世界各地で超音波を操る怪獣が出現するという事件を受けて、再び立ち上がるというお話です。これには当時の怪獣ブーム(劇場では東宝の『ゴジラ』に大映の『ガメラ』、さらには松竹の『ガッパ』に日活の『ギララ』と怪獣たちが猛威を奮い、TVでは『マグマ大使』や『ウルトラマン』が人気を博していた)の影響もあったものと思われます。
ただし実際の作品は、子ども向けのアクション物というよりも、もっと人間ドラマを前面に出したものになっています。
9人ものサイボーグ戦士を持て余し気味だった前回とは違って、今度は009以外のメンバーは徹底的に脇役扱いにして主人公をキッチリと立て、片や新しいキャラクターであるヘレナ(「ミュートス・サイボーグ編」のヘレナと「地下帝国ヨミ編」のヘレンのミックス)をしっかりとヒロインの位置に据え、この二人の交流をメインに描いています。
ブラックゴーストのスパイとして送り込まれながら、009の優しさに触れるうちに改心して組織を裏切り、悲劇的な結末を迎えてしまうという彼女を情感たっぷりに表現しているのは、正に演出の芹川有吾の本領発揮といえるでしょう。前作同様に音楽を担当した小杉太一郎が、今回のヘレナのために書いた泣かせのメロディも場面を大いに盛り上げています(余談ですが、芹川有吾はこのテーマ曲を気に入り、作品の枠を越えて自作に流用しています。有名なところでは『マジンガーZ』における”ミネルバXのテーマ”としての使用例でしょうか)。今日久々に見直したんですが、最後の方では思わず目頭が熱くなってしまいました・・・。
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