『新戦艦高千穂』 平田晋策
2016年 07月 09日
だが日本も探検船一隻に任せている訳ではない。最新鋭の戦艦「高千穂」が最終テストを終え、「北斗丸」と合流すべく出航の準備を整えていた。
その指揮を執る勝山一郎少将は「第二の秋山真之」と称される名将だったが、親戚同士だった小川家と勝山家は祖父の代からの因縁で絶縁状態にあり、小川少佐は今回の任務達成に異様な執念を燃やしていた。
作品中でもスペックは語られるものの、今一つその凄さが伝わってこない「高千穂」なのだが、少なくても期待してたようなスーパーウェポンではなかった…。
もちろん当時(昭和10年)の感覚で言えば”世界最強”と呼ぶに相応しいハイスペックなのだろうが、空を飛んだり海中深く潜ったり、というものを期待してしまっていただけにちょっとガッカリ。
また内容も、正義の国・日本が悪い両大国(当然のようにアメリカとソ連がモデルだ)を正し世界秩序を築き上げようという、啓蒙的というかある意味で妄信的なスタイルなので、これを今の子どもたちが読んだらどういう反応を示すのだろうか。
寛少年はスーパー中学生で、「高千穂」に無理矢理乗り込んでくるその従妹で勝山少将の娘・一枝もまた然り。
この二人が「ロミオとジュリエット」ばりのカップルを演じるのかと思いきや、流石にこの時代ではそういうシチュエーションは無理のよう。お互いに好意を抱いているのは明白乍ら、仲の良い友人同士で終わっている。
そして小川家と勝山家の対立の原因とその真相はちょっと面白いかも。