『アウターマン』(2015)

そんなある日、突如アウターマンそっくりの宇宙人が現れる。街はパニックになりかけるが、彼は人類救済のためにやってきたというのだ。人々はホンモノのヒーローの登場に興奮を禁じ得ない。
しかし防衛省は恐るべき事実を掴んでいた。
アウターマンの敵役として番組に登場していたシルビー星人、そのホンモノの証言によると、番組を使ってアウターマンをヒーローだと信じ込ませ、その隙に母星そっくりにテラフォーミングして人類を滅ぼすのが真の目的なのだという。
この危機を乗り越えるには、アウターマンに洗脳されていない人間が、シルビー星人と合体して戦うしかない。そして白羽の矢が立ったのが、足立、吉野、森脇の三人だった…。
ヒーローが実は悪い奴で、その敵役が本当は良い奴だった、という善悪逆転の発想には思わず「やられた」という感じ。
アウターマンは特撮ヒーローの代名詞「ウルトラマン」を英語発音したものを連想させるし、シルビー星人は言わずと知れたその好敵手「バルタン星人」――なんせそのネーミングは当時の人気歌手”シルビー・バルタン”に由来するというのが巷間伝えられている都市伝説なのだから――を彷彿とさせるというのもなんともストレートすぎ。
でありながら歴代のアウターマン役者を演じているのが塩谷瞬、吉原靖久、戸塚純貴と、<スーパー戦隊>や<平成仮面ライダー>所縁のキャストというのも面白い。
その他の出演者はGero、七海、北岡龍貴、筒井巧、沖田駿一、きくち英一、真夏竜…とこちらはウルトラシリーズと東映ヒーローの混成チーム。
監督は「日本バカ映画の巨匠」とキャッチコピーを付けられてる河崎実だが、意外にも真っ当なドラマ展開で、泣き要素も燃え要素もある。いつものゆるーい脱力系の笑い成分は抑えめで、なんだ、こういう映画もイケるんだ。