『X-MEN/フューチャー&パスト<ローグ・エディション>』(2014)
2016年 08月 10日
「フューチャー&パスト」は既にDVDとBlu-rayがリリースされていますが、その後で別ヴァージョンの<ローグ・エディション>がBlu-rayだけでリリースされています。「ファンなら両方買え」という有難いサービスなのか、一粒で二度美味しいという商売っ気なのかは受け手次第でしょう。
上映時間は132分から149分へ延長されましたが、見る前は編集でカットされたローグの出番を単に増やしただけなのかと思っていました。ところがローグの出番を増やすと、物語の進行がかなり変わるんですね。
その登場は終盤だけですが、まずウルヴァリン=ローガンを過去へ送ることでキティの体力の消耗が激しいことをアイスマンことボビーが気にします。そこで他者の能力を吸収して活用することが出来るローグを助け出すことを提案。マグニートー=エリックと一緒にプロフェッサー=チャールズ邸に囚われてる彼女を助け出しますが、ここでボビーは命を落としてしまいます。以後ローガンの傍らに付き添うのはローグですが、<劇場公開版>では最後までキティを護ろうと戦ったボビーとは違う運命が…。
またローグ以上に出番が増えたのがレイブン=ミスティークとハンク=ビースト。逃亡中のレイブンがセレブロを破壊するためにチャールズ邸に戻ってくるシーンでは、ハンクとのちょっとしたラブシーンもあったりで見ていて気恥ずかしいというか何というか。
これによって彼女のキャラクターは補完され、チャールズに対する、そしてエリックに対する複雑な彼女の感情に深みが出たのも確かですが、全体的にはテンポが悪くなってしまった印象が残ります。
ハンクがローガンに、未来世界での自分の運命を尋ねるシーンも別のシチュエーションに変えられてますが、これも<公開版>の方が感情の流れがスムーズなような気が。
ということで、この作品に関しては<劇場公開版>のまとめ方の方が正解ではないでしょうか。
<ローグ・エディション>は、あくまでも撮影されたもののカットされてしまったシーンを追加した、パラレルなものとしてファンが楽しむものなのかなと思います。
ついでに書いておくと<ローグ・エディション>ではレイブンの吹替キャストが剛力彩芽から牛田裕子に変更になっていますが、それがこのヴァージョン存在の最大の意義かもしれません。
芝居場が増えたレイブンに素人を起用するのは無謀(もちろん実際にはスケジュールや予算等の問題で、剛力彩芽の追加収録が出来なかった、というような事情もあったのでしょうが)なので、これは英断かと。
追加収録ということではマグニートーの台詞の一部が長克己になってますが、これは<公開版>作成から追加録音までの間にオリジナルキャストの家弓家正が亡くなってしまったからです。
といっても声に張りがなく、聴いていて辛かった<公開版>を考えれば、全面的に差し替えというのも有りだったかも知れませんね。