舞台『里見八犬伝』
2017年 04月 24日
2012年の初演は見逃してますが、2014年の再演に続き今回が3回目の観賞です。
この大ホールは1800席くらいあるようですが、そのうち1700人くらいが女性客な印象。旬な若手俳優を取り揃えてるからでしょうかね。
しかし<スーパー戦隊>や<平成ライダー>などのニチアサや<牙狼>シリーズでお馴染みの人が多いから、この内の何割かは特撮ヒーローのファンなのかしらん?
さて今回の配役は犬塚信乃:山﨑賢人、犬山道節:青木玄徳、犬川荘助:玉城裕規、犬田小文吾:和田雅成、犬江親兵衛:西銘駿、犬坂毛野:松島庄汰、犬飼現八:荒井敦史、犬村大角:丸山敦史、浜路:青野楓、左母二郎:栗山航、ゝ大法師:松田賢二、玉梓/伏姫:比嘉愛未、里見義実:俊藤光利、房八:八百谷直斗、ぬい:川島鈴遥、悪四郎:横山一敏という顔触れ。
前回と同じなのは信乃と大角、里見義実、悪四郎の4人で、玉城裕規は前回の毛野から今回は荘助、荒井敦史も前回の小文吾から源八へと配役変更。ちなみに初演版から一貫しているのは悪四郎を演じてる横山一敏だけみたいですね。
前回観たのが何せ2年半くらい前なので、もう細かいところを忘れちゃっていて、冒頭の浜路を巡っての信乃と荘助の斬り合いなんか、「あれ?こんな話だったっけ?」と戸惑ったりもしましたけど、段々と「そうそう、こんなお話だった」と思い出してきました。
脚本の大きな手直しは…なかったんじゃないでしょうか。
じっくりと検証したいのでDVDとか出してくれないもんですかね。同じ日本テレビの「真田十勇士」は出してくれたんだし。
というのも自分はS席のチケットを取ったんですが、これが2階の端っこの更に後ろの方だったもので、役者さんも誰が誰やら判別が難しいくらいステージから遠かったのです。
毎度毎度思いますけど、大半がS席で残りはA席というこの手の公演の強気な価格設定って何とかならないものですかねえ。
1階の前方、中央寄りをS席とするなら、ここはせいぜいB席がいいところ。一律同じ料金払わされるのはどうも納得いきません。
Sでさえこれなんですから、実際のA席ってどの辺だったのかと考えるとぞっとします。
ということで自然と俳優さんの「声の演技」に注目せざるを得なかったのですが(表情なんかわかるわけもないので)、その中で良いなあと思ったのは比嘉愛未。両極端な二役を演じているのですが、時折見せる狂気を滲ませた感情表現、上手い女優さんになったなあ、と思いました。
それ以外では青木玄徳や荒井敦史も改めて「いい声」してるなあと感じました。
反対に気になったのは前回同様、気取った台詞回しの山﨑賢人。
そういう演出を付けられているのかもしれませんが、舞台向きの発声ではありませんね、少なくても。テレビドラマや、あるいは映画ならばそれも「味」として認識されるかもしれませんが…。
また今回期待していたのは浜路役に抜擢された青野楓なのですが、残念ながら彼女の持ち味を生かすような場面はありませんでした。若干の殺陣のシーンもあるにはあるのですが、動きは控えめでしたね。
彼女が舞台上をビュンビュンと飛び跳ねたら逆に作品からは浮いてしまうでしょうが、そうは言ってもせっかくの逸材、もう少し動かしてあげても良かったんじゃないのかなあ、勿体ないなあと思ってしまいます。
「真田十勇士」と違って本来の「里見八犬伝」は全員帰還のハッピーエンド。それを八犬士が次々と斃れて行く形にしたのは、この舞台版の”原作”とも呼ぶべき角川映画版「里見八犬伝」でして、信乃をはじめとする登場人物たちが悲劇に酔い痴れてるようなのは気になるのですが、トータルでは見応えのあるものになっているのは確かなこと。
もしまた再演なんてことになったら、今度こそ良い席で見たいもんですね。
それにしても音楽はまたもやOVA「ジャイアントロボ THE ANIMATION/地球が静止する日」からの流用曲ばかり。
格好は良いんですけど、違う場面が脳裏に浮かんできてしまうのは困りものです…。