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『思い出のマーニー』(2014)

『思い出のマーニー』(2014)_e0033570_21123231.jpg喘息を患った杏奈は、療養のためやってきた湿地帯でマーニーという不思議な少女と出会う。
ジョーン・G・ロビンソンの同名小説を、舞台を日本は北海道に置き換えてアニメ化したもので、高畑勲、宮崎駿の両名が関わっていない珍しいジブリ作品。

「あなたのことが大すき。」なんていうド直球なコピーが付けられているので、さてどんな作品なんだろう?まさかの百合萌え?
――なんて思っていたけれど、実際はミステリー仕立ての良質なジュブナイルといったところ。
リアルな街並みといい、美しい自然に囲まれた桃源郷のような空間といい、背景美術の美しさには圧倒された。

初登場シーンの杏奈があまりにも美少女然としていたので初めのうちはちょっと違和感があったけれど、段々といつもの(?)ジブリ顔へと変貌していくので次第に気にならなくなる。
強いて言えばマーニーの顔立ちがあまりジブリらしくないとは思うのだが。

『思い出のマーニー』(2014)_e0033570_21125341.jpgそのマーニーが一体誰なのか、杏奈とはどういった関係なのかは途中で予想がつくが、二人の間の物語は杏奈の空想上のものなのか、それとも幼い頃に聞かされていた話を知らず知らずに再構築していたのか、それともそれとも実際に何らかのスピリチュアルな体験をしていたのかは敢えてぼかしているのだろうが、どのように解釈したとしても、この体験が杏奈を変え、彼女が自らの殻を壊して今までの自分と訣別していくという結末へ繋がっていくのに不都合はない。
少女のひと夏の成長譚としてもよくまとまっていて、劇場公開時は何となくスルーしてしまったのが今更ながら悔やまれる。

キャストは高月沙良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、吉行和子、黒木瞳…とジブリならではの顔ぶれ。
声を聴いただけで本人の顔がすぐ浮かんでくる、というほど特徴ある声の持ち主がいない点は救いだが、「声優」としての演技自体は微妙な人が少なくなく、映画全体の完成度という点ではやや不満が残ってしまったのはいつものことだ。

【ひとりごと】
劇場公開時にスルーしてしまった理由の一つは、予告編に使われている杏奈とマーニーの台詞があまりに陳腐に聞こえたから、というのも大きい。
「永久に秘密よ!」とか「許すと言って!」とか…。
まあ本編で聴く限りはそれほどの破壊力はないのだけれど。


by odin2099 | 2017-07-07 21:17 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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