【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『交響曲 宇宙戦艦ヤマト』

1974年に最初のテレビシリーズが始まり、1983年に映画『完結編』をもって終止符を打った『宇宙戦艦ヤマト』。その10周年を記念して作られたのが4楽章形式の交響曲で、1984年5月4日に五反田簡易保険ホールで初披露された。
作曲は『さらば宇宙戦艦ヤマト/愛の戦士たち』以降の作品にピアニストとして参加し、『宇宙戦艦ヤマト/完結編』では作曲家としても携わった羽田健太郎。宮川泰のオリジナル・モティーフを中心に、純然たるクラシック音楽として再構成。それを新進気鋭の大友直人の指揮の下、コンサートマスター徳永二男のソロを交えたNHK交響楽団の演奏で提供している。
このライヴ演奏は当時LP、次いでCDで発売され、映像版もLDでリリースされており(最近DVD版もリリース)、いつもはCDで楽しんでいるのだけれども、たまにはとLDを引っ張り出してみた。

『宇宙戦艦ヤマト』の音楽をクラシック風に、というと最初のテレビシリーズを再編集した劇場版が大ヒットした直後に、劇中曲をアレンジして大編成のオーケストラで演奏した『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』が作られヒット。どちらかといえばジャズっぽいBGMが特徴だった『ヤマト』の音楽は、以後の作品ではシンフォニーを基調にしたクラシック調のものが中心になっていったという経緯がある。
また他のアニメ作品も右に倣えで、やたらとシンフォニー演奏の音楽が増えたのも当時の評判を裏付けている。

『完結編』製作中の西崎義展プロデューサーが、『ヤマト』を総括したようなシンフォニーを作りたい、と発言した時は大いに期待したものだ。演奏はレニングラード・フィルを起用するということだったし、当然それはシリーズ中の主要な音楽を網羅し、音で綴る”ヤマト・ヒストリー”的なものになるだろうと。想像しただけでワクワクした。

ところが出来上がったものを聴いた時は大変失望した。そこに繰り広げられていたのは、まるで馴染みのない世界だったのだ。
確かに『ヤマト』のBGMから何曲かが使われてはいる。
御馴染みのスキャットのメロディー(「無限に広がる大宇宙」)をはじめ、「イスカンダル」を描写する曲、『完結編』の「FIGHT!コスモタイガー」、「神殿部の戦い」、それに「大いなる愛」。
しかしこれらは、『ヤマト』という作品を髣髴とさせる使われ方ではなかった。そして何よりも、主題歌である「宇宙戦艦ヤマト」のメロディーでさえ断片的にしか使われていないのだ。
今でこそ愛聴盤になっているが、アニメーション作品を離れた独自の音楽世界としての「ヤマト」を受け入れるまでには、かなりの年月を要したものである。結局自分の中で一度、『宇宙戦艦ヤマト』という作品とは切り離して、全く新しいクラシックの一曲として捉え直すことが出来ではじめて、この作品を認められるようになったのだ。

e0033570_2257020.jpgこのライヴ映像版には劇場作品からの映像がかなり挿入されている。
しかし前述の通り、既にアニメーション作品から独立したものであるこの作品には、全くといって良いほど馴染んでいない。
純粋なオーケストラの演奏風景と、もし許されるならば曲のイメージに合せた、これまでの『宇宙戦艦ヤマト』からは離れた映像を作って流して欲しかった。
だがスコアの完成は本番当日で、リハーサルも一回だけというタイトなスケジュールでは所詮は叶わぬ夢か。

監督はクラシック中継番組のディレクターをこなし、実際に舞台でオペラを演出したこともある実相寺昭雄
この頃どういうわけか西崎プロデューサーと接点があったようだが、他にどんな企画が動いていたのかちょっと興味がある。
別の監督が予定されていたようだが、半村良の『妖星伝』映画化なんて企画があったのもこの頃だったし。
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by odin2099 | 2006-02-03 22:43 | 音楽 | Trackback | Comments(4)
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Commented by jh7hhn at 2006-02-03 23:46
交響曲のヤマトのCD持っています。でも、なんか味気ないでした。ヤマトのあの感激は正直湧いては来ませんでしたね。
そういえばヤマトのビデオやDVDが出たっつうんで、借りたことがありましたけど、肝心なところが抜けていて、面白くなかったと記憶しています。
あのヤマトはどこに行ったのでしょうか。
Commented by odin2099 at 2006-02-04 21:51
>なかちゃん様

お身体の具合はもうよろしいのでしょうか?

さて、『交響曲ヤマト』のCD、お持ちでしたか。
やはりこれは『宇宙戦艦ヤマト』という作品とは切り離して考えるべきでしょうかね。

ビデオやDVDで肝心なところが抜けている、
というのはパート1のTV版と劇場版を比較してのことですかね。
だとしたら、自分はダイジェストなのである程度仕方ないと割り切ってますね(苦笑)。
Commented by jh7hhn at 2006-02-05 00:36
 ご心配いただいて、ありがとうございます。おかげさまで、なんとか。咳がちょっとだけ残っていますけど。

 そうそう、今みたいに、視聴させてくれるような時代ではなかったので、ワクワクしながら購入したCDでしたが、代金をどぶに捨てたような気になりましたっけ。

 ビデオの方ですけど、私としては、あのときの完全版を、また観たいと思っているんです。でも、きっと無理なんでしょうね。
Commented by odin2099 at 2006-02-05 22:28
う~ん、完全版とはどのヴァージョンを指しているのでしょうか?
TVシリーズも劇場版も全てDVD化されておりますので、
見られないものといえば、『完結編』の初公開ヴァージョンくらいかと。
まぁ『YAMATO2520』は除いて、ですが(苦笑)。

それにしても最近ニュースが全然流れませんが、
『新・宇宙戦艦ヤマト/復活編』、まだ今年中に公開する気があるのかしらん?

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