『リメンバー・ミー』(2017)
2018年 03月 18日
年に一度先祖を迎える”死者の日”、音楽への情熱を断ち切れないミゲルは、家族に反発して家を飛び出すが、なんと<死者の国>に彷徨いこんでしまい、そこで自分の先祖たちと出会う。
生きている人間は夜明けまでに<生者の国>へ戻れないと、永遠に家族に忘れられてしまう。帰るためには先祖からの許しが必要なのだが、高祖母のイメルダは許しを与える代わりに、ミゲルに音楽を諦めるようにとの条件を付けた。家族に掟を定めたのは彼女だったのだ。
憧れのデラクルスが自分の先祖であると確信したミゲルは、今度は彼の許しを得ようと、途中で知り合ったデラクルスの知り合いだという陽気なガイコツ、ヘクターと一緒に彼を探すことになるのだが…。
しつこいくらいに予告編を見させられたけれど、キャラクターの絵柄は好みじゃないし、ガイコツはキモいし、と最初は全く見るつもりはなかったのだけれど、そのうち主題歌「リメンバー・ミー」が脳内でリピート再生されるようになり、同時上映の短編「アナと雪の女王/家族の思い出」も気になり…と結局劇場へ足を運ぶことに…。
<死者の国>を訪れた少年の大冒険!
それとも家族の絆を描いたお涙ちょうだいモノ?
――そのどちらでもありませんでした。
いや、どちらの要素もあるんだけれど、結局のところは、うーん、ミステリー・サスペンス物?
ミゲルの一家に音楽禁止の掟が出来た理由はオープニングで早々と語られますが、その原因を作った人物が誰か、そして何故そういうことになってしまったのか、その種明かしが全編を通して語られていくので、別にミゲル少年が積極的に謎解きに挑むわけじゃないけれど、結果的に少年探偵モノっぽく見えなくもないってことに。
で、その謎解きだけれど、自分は違う展開を予想していたのでちょっと意外に思えたけれど、勘のいい人なら早い段階で気付くのかな?
後で振り返れば、伏線はきちんと貼ってあるのでアンフェアではないのだけれど、ミスリードの罠にまんまと引っ掛かった感じでちょっと口惜しい。
ただねえ、子供向けのわかりやすさとか、観客のカタルシスを意識してのことなんだろうけれど、こういう物語に、無理して”悪役”を設定して、それをやっつけてメデタシメデタシの展開にしなくても良いんじゃなかろうか。
勿論そこに至る過程で、ミゲルとイメルダをはじめとするご先祖様の心が通じ合い、和解が成立する、という筋書きは納得出来るのだけれども、それもパターンといえばパターンだし、安直といえば安直。もう一工夫欲しかったというのは贅沢な望みだろうか。
ともあれ、「リメンバー・ミー」は良い曲だった。
邦題にこれを持ってきたのも正解だろう(原題のまんまじゃ何の映画か全く理解されないだろうし)。
全編通してミュージカル仕立てで、ゴキゲンなメロディーが流れるのも嬉しい。
でも、やっぱりガイコツはキモい。
【追伸】
吹替版しかやってなかったのでそっちを見たけど、なかなか悪くない。
しかし劇中の看板やら何やらも、全部日本語に置き換えられてるのはあんまりいい気持がしないね。親切だけど。
【監督】リー・アンクリッチ 【声の出演】アンソニー・ゴンサレス/ガエル・ガルシア・ベルナル/ベンジャミン・ブラット/アランナ・ウバック/レニー・ビクター/ジェイミー・カミル/アナ・オフェリア・ムルギア/ナタリア・コルドバ=バックリー/ソフィア・エスピノーサ 【公開日】2018年3月16日 【製作】アメリカ 【ストーリー】 ミュージシャンを夢見るギターの天才少年ミゲル。し...... more
予告編とかではデラクレスがいかにも憧れの存在って感じで描かれていたので、物語の真相の伏せ方みたいなものとしてはなんか上手いなとも思ってしまいましたw・・・もっとも、ヘクターが出て来てからはその真相に至るヒントも分かり易くなってくるので『意外!!』と驚くほどでは確かに無かったかも・・。
ただ展開は読み易くとも、泣かせ所はやはり普通に泣いちゃったのでした^^;
顔の部分が破れた写真、がこれほど意味を持っているとは、最初はわかりませんでした。
予告編の作り方も上手かったですね。
ただヘクターの出番が増えて来るうちに、コイツが家族に無関係なはずもないよなあ、と考え出すと、もしかすると?と繋がりに思い至る、というところでしょうか。